
年齢を重ねると、予定がないのに早く目が覚めるようになるなど、若い頃の睡眠とは少しずつ変化していきます。
その結果、「寝付きが悪い」「もっと長く寝たい」といった睡眠に対する不満が溜まっているシニアの方も少なくありません。
本記事では、加齢によって変化する睡眠の特徴や、安眠へ導く寝る前のストレッチについて詳しく解説します。
加齢によって睡眠はどう変わる?

シニア世代は早寝早起きの方が多いなど、若い世代とは睡眠の特徴が異なります。 個人差はあるものの、シニア世代と若い世代で睡眠の特徴が異なる要因には、加齢によって睡眠にまつわる機能が変化していることが挙げられます。 例えば、シニアの方が早寝早起きになるのは、加齢によって体内時計や生体リズムが早い時間にズレてしまうからです。
また、高齢になると、眠りの深いノンレム睡眠の時間が減るため、眠りが浅くなる傾向があります。 一方で、加齢によって基礎代謝が低下し、睡眠で補うエネルギー量が減るため、長い睡眠時間が必要なくなります。 途中覚醒の回数が増える一方で長く眠れないことから熟睡感がなくなり、睡眠の満足度も下がることで、睡眠に対して悩んでいるシニアの方も多いようです。
睡眠の質改善に寝る前ストレッチが有効な理由

シニア世代の睡眠の質向上を叶えるためには、「寝る前ストレッチ」が有効です。 ここでは、どうして寝る前ストレッチが有効なのか、その理由を解説します。
睡眠にはメラトニンが重要
シニア世代の睡眠の質が低下する要因の1つに、夜間に分泌される「メラトニン」というホルモンの量が低下することが挙げられます。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、体内時間の調整や睡眠導入などの役割があります。
そのため、メラトニンの分泌量が減少すると、睡眠の質にも大きな影響を与えてしまうのです。
メラトニンの分泌量は、光と運動量に大きく関係しており、日中に適度な運動をすることで夜に分泌されるメラトニンが増えることがわかっています。
しかし、日中は忙しくて運動の時間が取れない方もいます。
そのため、寝る前に軽いストレッチを行い、夜間のメラトニン分泌を促すことが、睡眠の質を改善するにはとても効果的です。
適度な疲労感で睡眠導入を促す
加齢によって足腰の機能が低下すると、身体への心配から外出したり身体を動かしたりする機会が減るため、1日の活動量も低下してしまいます。
睡眠には体力回復の目的があるため、活動量が低下すると体内の体力が余り、睡眠の必要性が低下したことで眠くなりにくくなる場合があります。
寝る前のストレッチを通して身体を動かすと、何もしないときよりもエネルギーを消費します。
身体が適度な疲労感を得るため、自然にな睡眠導入を促すのに効果的です。
さらに、ストレッチによって筋肉の緊張がほぐれると副交感神経が優位になるので、身体がリラックスでき、睡眠を誘いやすくする効果も期待できます。
安眠を叶えるおすすめ寝る前ストレッチ4選

ここでは、シニア世代の安眠をサポートするおすすめの寝る前ストレッチを4種類紹介します。 身体の動かしやすさなどから、ご自身が実践しやすいストレッチを試してみてください。
1.深呼吸
目的:深く呼吸し身体をリラックスさせる
- 背筋を伸ばして椅子に座る
- 鼻からゆっくりと息を多めに吸い込む
- 息を吸い込むのに合わせてお腹を膨らませる
- 吸ったときの2倍程度の時間をかけて息を吐き出す
- この流れを5回ほど繰り返す
ポイント:お腹に手を当てて膨らみを確認する
2.回し運動
目的:首、手首、足首の筋肉をほぐす
- 首を時計回りで3回ゆっくり回す
- 反対方向へ3回ゆっくり回す
■首
- 両手を組んで、手首を時計回りで3回ゆっくり回す
- 反対方向へ3回ゆっくり回す
■手首
- 椅子に座り右足首を左足の膝の上に乗せる
- つま先を手で掴み、時計回りで3回ゆっくり回す
- 反対方向へ3回ゆっくり回す
- 足を入れ替えてつま先を回す
■足首
ポイント:力を入れすぎず、ゆっくり回して関節に負担をかけすぎない
3.指先の曲げ伸ばし
目的:指先の血流を促進、筋力の維持
- 手をまっすぐ前へ伸ばす
- 手指を開く→閉じるを繰り返す
■手指
- 椅子や床に座り、つま先を上へ向ける
- 足指を開く→閉じるを繰り返す
■足指
ポイント:やや大げさに指を開閉させる
4.全身リラックス運動
目的:全身の筋肉をほぐしリラックスする
- ベッドや布団の上で仰向けになる
- 両腕を上げる
- 手足をゆっくり伸ばす
- 伸ばした姿勢を10秒キープする
ポイント:身体を伸ばすときは、上下から引っ張られていることをイメージする
寝る前の安眠ストレッチをするときの注意点

最後に、安眠のために寝る前ストレッチを行うときの注意点を解説します。
軽度なストレッチでもシニア世代の身体には負荷や負担が大きくなってしまう場合があり、体調不良やケガを招く可能性があるため、
以下の注意点を意識して取り組みましょう。
張り切って頑張りすぎない
「日々の安眠のために頑張りたい」と張り切るのは良いことですが、張り切りすぎてストレッチをやりすぎてしまう方もいます。
特に、高齢になると加齢によって筋力や柔軟性が低下しているため、反動をつけて痛みが伴うほど無理やり身体を動かしてしまうこともあります。
こうした無理が伴うストレッチは、筋肉や心臓への負担が増え、ケガや体調不良を招くリスクが高まるため注意が必要です。
ストレッチの目的は、適度な疲労感を与え、身体をリラックスさせることで睡眠導入を促すことです。
「気持ちいい」と感じる範囲で身体を動かし、頑張りすぎないようにしましょう。
ストレッチ中はしっかり呼吸をする
ストレッチ中に呼吸を止めると、身体が緊張してしまい筋肉の伸びが悪くなります。
ストレッチをしても十分に筋肉がほぐれず、リラックス効果も低下するでしょう。
さらに、呼吸を止めることで血圧が上がるなどのリスクがあり、身体へ大きな負担がかかる可能性もあります。
そのため、ストレッチ中はしっかりと呼吸をしましょう。
ストレッチ中の呼吸のポイントは、ゆっくりと深く呼吸をすることです。
浅くならないように意識して呼吸をするようにして、寝る前ストレッチに取り組みましょう。
休むことをためらわない
睡眠は毎日とるものだからこそ、ストレッチも毎日行うべきだと思う方も多いでしょう。
しかし、普段あまり運動をしていない方が休まずにストレッチをすると、身体が休むことができず、かえって眠りを妨げる場合があります。
さらに、普段よりも血圧が高いなど、体調が悪いときにストレッチをすると、より体調が悪化する可能性もあります。
ストレッチと休息のバランスを大切にし、なんとなくでも疲れを感じている場合などは無理をしてストレッチを続けないようにしましょう。
シニアの睡眠の質改善には寝る前ストレッチが効果的!安眠に有効な理由やおすすめストレッチを解説 まとめ
高齢になると睡眠状況が変わるのは、加齢による身体の変化や生活習慣が要因です。
そこで、安眠を実現する第一歩として、寝る前に手軽なストレッチを実践してみましょう。
ストレッチは、身体機能が不安な方や日中は忙しい方でも取り組めるので、無理なく睡眠の質改善につながります。
ただし、ストレッチは筋肉を伸ばす運動ですので、間違った方法で行うとケガなどのリスクを上昇させます。
「痛みを感じるまで伸ばさない」「体調が悪いと感じるときは休む」といった、メリハリを付けてストレッチに取り組むことが大切です。
頑張りすぎないように注意し、上手に寝る前ストレッチを生活の中に組み込んで、安眠できる環境を整えましょう。
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