
「そろそろデイサービスを検討した方がいいのかな…でも、何から手をつけていいか分からない」「種類がたくさんあって、どう選べばいいのか難しい」
このようなお悩みは、多くの方が抱えるものです。しかし、デイサービスは、利用するご本人やご家族の生活の質を大きく向上させ、介護の負担を軽減してくれる心強い存在になり得ます。
この記事では、デイサービス選びで後悔しないために知っておくべき基本から、具体的な選び方、そして失敗しないための9つのチェックポイントまでを詳しく解説します。この記事を読めば、あなたの大切な方の状況にぴったりのデイサービスを見つけるための具体的なステップが分かります。
デイサービスとは?基本を知ろう

まずは、デイサービスがどのようなサービスなのか、その目的や種類、提供されるサービス内容、そして費用体系について基本的な知識を確認しましょう。
デイサービス(通所介護)の目的と役割
デイサービスは、要介護(要支援)認定を受けた方が自宅から施設に通い、日帰りでさまざまなサービスを受けることができる介護保険サービスです。おもな目的と役割は以下の通りです。
身体機能の維持・向上、機能訓練
専門職による機能訓練やレクリエーションを通じて、身体能力の維持・向上を目指します。日常生活動作(ADL)の改善に繋がる機能訓練も行われます。
社会的な交流、孤立防止
自宅に閉じこもりがちになることを防ぎ、ほかの利用者やスタッフとの交流を通じて、社会参加を促し、孤独感の解消に貢献します。
家族の介護負担軽減(レスパイトケア)
介護者が一時的に介護から離れる時間を持つことで、心身のリフレッシュを図ることができます。これを「レスパイトケア」と呼びます。
デイサービスの種類と特徴
デイサービスにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。利用者の状態やニーズに合わせて適切なサービスを選ぶことが重要です。
通所介護(デイサービス)
最も一般的なデイサービスです。食事、入浴、レクリエーション、機能訓練など、多様なサービスを提供し、自宅での生活を支援します。多くの施設で個別機能訓練が提供されています。なかでも、「機能訓練特化型(俗にリハビリ特化型とも呼ばれている)デイサービス」は通所介護の一種で、身体機能の維持・向上に重点を置いたプログラムが充実しています。
通所リハビリテーション(デイケア)
医師の指示に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職による集中的なリハビリテーションが提供される施設です。医療保険ではなく介護保険が適用され、機能回復や維持がおもな目的となります。
地域密着型通所介護
定員18名以下の小規模なデイサービスで、住み慣れた地域で顔なじみのスタッフからきめこまやかなケアを受けたい方に適しています。地域との交流を重視し、家庭的な雰囲気の中でサービスが提供されます。
認知症対応型通所介護
認知症の診断を受けた方に特化したデイサービスです。少人数制で、認知症の症状に合わせた専門的なケアやプログラムが提供され、精神的な安定を図ることを目的としています。
療養型通所介護(療養型デイサービス)
医療ニーズの高い方(がん末期、難病、人工呼吸器を使用している方など)を対象としたデイサービスです。看護師や医療スタッフが常駐し、医療的なケアや管理が必要な利用者も安心して利用できるよう、手厚い体制が整えられています。
Memo
「最近注目のサービス」夜型デイサービス
近年、多様なニーズに応える夜型デイサービスが登場し、注目を集めています。これは、おもに夕方~夜にかけて利用するデイサービスです。
施設で夕食や入浴などのサービスを受け、その後自宅へ帰宅します。夕方~夜間に介護者が不在となるご家庭や、夕食準備・入浴介助に課題があるご家族にとって、新たな選択肢となるでしょう。
デイサービスで受けられるサービス内容
デイサービスで一般的に提供されるサービスは多岐にわたります。
- 送迎:自宅から施設までの送迎サービスが提供されます。車いす対応の車両もあります。
- 健康チェック(バイタル測定など):来所時に体温、血圧などの健康状態の確認が行われます。
- 入浴、食事の提供:安全に配慮された入浴介助や、栄養バランスの取れた食事が提供されます。
- レクリエーション、機能訓練(リハビリ):体操、ゲーム、創作活動などのレクリエーションや、専門職による機能訓練が行われます。
- 相談援助:介護に関する悩みや困りごとについて、専門スタッフに相談できます。
デイサービスの費用体系
デイサービスの利用にかかる費用は、おもに以下の要素で構成されます。
介護保険の適用範囲と自己負担割合
介護保険が適用されるサービスについては、所得に応じて1割、2割、または3割の自己負担があります。要介護度によっても利用料金は異なります。
食費、おやつ代、レクリエーション費などの実費負担
食事代やおやつ代、一部のレクリエーション費用などは介護保険の適用外となり、全額自己負担となります。
おむつ代などのその他の費用
必要に応じて、おむつ代などが別途請求される場合があります。
後悔しないための9つのチェックポイント

ここからは、実際にデイサービスを選ぶ際に、具体的に確認すべき9つのチェックポイントを解説します。
1. サービス内容・プログラムの充実度
デイサービスによって提供されるサービスやプログラムは異なります。
提供されるサービスはニーズに合っているか
機能訓練の種類や頻度、レクリエーションの内容(体操、ゲーム、手芸、脳トレなど)が、ご本人のニーズや興味に合っているかを確認しましょう。また、長期的に浴槽の出入りが難しくなっても、車椅子になっても、入浴のサービスを受け続けられる特殊浴槽の有無も確認するのもおすすめします。
個別機能訓練の実施状況
身体機能の維持・向上を目指す場合、個別機能訓練がどのように行われているか、専門職の配置状況なども確認しておくと良いでしょう。
2. 施設の雰囲気と清潔感
施設に入った瞬間の印象はとても重要です。
明るさ、開放感、清潔感はどうか
施設全体が明るく、開放感があるか。整理整頓され、清潔に保たれているかを確認しましょう。
利用者の表情はどうか
利用者の方々が笑顔で、楽しそうに過ごしているか、生き生きとしているかどうかも大切なポイントです。
3. スタッフの対応・質
スタッフの質は、サービスの質に直結します。
笑顔、言葉遣い、利用者への接し方
スタッフが笑顔で、丁寧な言葉遣いをしているか。利用者の方々に対して、親身に寄り添い、尊重した態度で接しているかを確認しましょう。
専門性
介護福祉士、看護師、理学療法士などの専門職が適切に配置されているか、資格を保有しているかなども確認すると安心です。
4. 食事の内容と配慮
毎日の食事は、利用者の楽しみの一つです。
献立のバリエーション、栄養バランス
献立に工夫があり、栄養バランスが考慮されているかを確認しましょう。
きざみ食、ミキサー食などの個別対応の可否
嚥下機能に不安がある場合など、個別の食事形態(きざみ食、ミキサー食、ソフト食など)に対応可能か、アレルギー対応の有無も確認しましょう。
5. 送迎の範囲と体制
毎日の送迎がスムーズに行われるかは、利用のしやすさに直結します。
自宅からの距離、送迎車の種類
自宅から施設までの距離、送迎の範囲を確認しましょう。車いすを利用する場合など、リフト付き車両があるかどうかも重要です。
送迎時間、介助の有無
送迎時間帯は希望に沿えるか、乗降時に必要な介助を受けられるかなども確認しておきましょう。
Memo
デイサービスの送迎は、利用者の自宅玄関から施設まで、そして施設から自宅玄関まで、「ドアtoドア」で安全に行うのが基本です。ですので、スタッフが自宅の玄関から中に上がることは、原則としてありません。
6. 緊急時の対応体制
万が一の事態に備えて、緊急時の対応体制は必ず確認すべき項目です。
体調急変時、事故発生時の対応フロー
利用者の体調が急変した場合や、施設内で事故が発生した場合の対応フローが明確になっているかを確認しましょう。
医療機関との連携状況
提携している医療機関があるか、緊急時に迅速に医療機関に搬送できる体制が整っているかを確認しましょう。
7. 費用の明瞭さ
費用の内訳が明確であることは、安心して利用するための基本です。
基本料金以外の追加費用について明確な説明があるか
介護保険の自己負担分以外に、食費、おやつ代、レクリエーション費、おむつ代など、どのような費用が別途発生するのか、その料金体系が明確に説明されるかを確認しましょう。
キャンセル料などの規定
急な体調不良などで利用をキャンセルした場合のキャンセル料の有無や規定についても確認しておくと良いでしょう。
8. 利用者と家族への情報提供・連携
デイサービスとご家族との密な連携は、安心して任せる上で欠かせません。
連絡帳、面談、電話などでの情報共有の頻度と内容
デイサービスでの様子や体調について、連絡帳や電話、面談などで定期的に情報共有が行われるかを確認しましょう。
相談しやすい雰囲気があるか
介護に関する悩みや、利用中の疑問点など、いつでも気軽に相談できる雰囲気があるかどうかも大切です。
9. 評判の確認
実際に利用している方の生の声は、貴重な情報源です。
実際に利用している人の生の声
もし可能であれば、すでにそのデイサービスを利用している方やそのご家族から、直接話を聞く機会があれば、より具体的な情報を得ることができます。
デイサービスの選び方|まとめ
デイサービス選びは、ご本人にとってもご家族にとっても、今後の生活を左右する大切な選択です。複数のデイサービスへ実際に足を運び、施設の雰囲気やスタッフの様子を肌で感じることで、多くの情報を得ることができます。
デイサービスは「選ぶ」ものです。納得のいく選択をするために、焦らずじっくりと、上記でご紹介したチェックポイントを参考に検討を進めてください。
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