
在宅介護において特に大きな悩みの一つは、高齢になった親とのコミュニケーションが上手く取れず、関係が悪化してしまうことです。特に、親を大切にしたい気持ちと、今以上に関わりたくない気持ちの両方を抱えてしまい、気持ちが滅入ってしまう方もいます。本記事では、高齢家族とのコミュニケーションが難しい理由や対処法について解説しています。親との関係に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
在宅介護において特に大きな悩みの一つは、高齢になった親とのコミュニケーションが上手く取れず、関係が悪化してしまうことです。特に、親を大切にしたい気持ちと、今以上に関わりたくない気持ちの両方を抱えてしまい、気持ちが滅入ってしまう方もいます。本記事では、高齢家族とのコミュニケーションが難しい理由や対処法について解説しています。親との関係に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
介護をしていると、高齢家族と上手くコミュニケーションが取れず、何度も喧嘩したり言い争いをしたりしてしまうことがあります。中には、今まで両親との関係が良好だったのに、高齢になってから関係が悪化し、以前のように仲良くできないことに悩む方もいます。そこで、どうして高齢になるとコミュニケーションが難しくなるのか、その原因を探ってみましょう。
高齢家族との関係が悪くなる要因の1つとして、親に対する価値観の違いが挙げられます。「子供に迷惑を掛けたくない」であったり、「何よりも親を大切にするべき」であったり、親としての価値観がそれぞれあります。いろいろな親子関係があるとはいえ、親子だからこそ遠慮のない言葉遣いや態度をとり、頼んだことを子供に断られると「親を大切にしないのか」と怒ってしまったりするのです。
一方、子供も親を大切にしたいという思いはありますが、最優先するべきとまでは考えていません。仕事や育児など、他にしなければならないことをしたうえで、時間を作って両親のケアをしようとします。自分の休息時間などを削って親のケアに努めています。
そのため、自分のことしか考えない親の言動に対してイライラが募り、ケンカや言い争いが起きてしまうのです。ただし、そもそもの価値観が違うので、ケンカしてもお互いにわかり合えず、同じことで何度もケンカしてしまいます。
子供には子供で重要な事柄があります。毎日仕事や育児に取り組んでおり、忙しさのあまり他のことを考える余裕がないこともあります。このように、自分の生活だけで手一杯の状況では、時間的にも精神的にも余裕がなくなるため、親の介護にまで十分に対応できないことがあります。
しかし、こうした子供の状況は親からは見えないため、どんなときでも多くの要求を言われます。その結果、子供のことを考えず自分のことばかり言う親とは分かり合えないと感じ、関係がこじれてしまうのです。
親には子の成長を支え、守る役割があります。しかし、子供が自立すると、こうした役割を果たす必要がなくなり、反対に子供に甘えるようになることもあります。そして、高齢になった親を子供がケアするようになるため、今までの立場が逆転し、子供が親の生活を守る立場になります。
ただし、親と子供の役割が逆転しても、関係性は変わりません。子供が自立しても、親は親であり続けます。いくつになっても、子供は親からの言葉に強い拘束力を感じるため、親が自分勝手な言動や要望をしても強く反論できず、溜め込んでしまうのです。その結果、ストレスや苛立ちが少しずつ募り、最終的には親と関わることすら拒絶することもあります。
高齢家族と関係が悪化するのは、子供の状況や感情を親が理解できず、感情的な言動を行うことが背景にあります。ここでは、コミュニケーションが難しいと感じたときに、きちんと自分の意志を親に伝え、分かり合うための対処法を解説します。
高齢になった親は、自分の価値観が正しいという思いから、悪気なく一方的に要望を伝えてきます。そのため、強い言葉で親の要望を断るなど感情的な言動をすると、親はどうして怒っているのか理解できず、子供に対して強いストレスや不満を感じます。
その結果、お互いに感情的になり、大きなケンカに発展したり、信頼関係が壊れたりして関係が悪化してしまいます。関係が悪化すると、デイサービスやショートステイといった介護サービスの利用拒否など、今後の介護に支障をきたす恐れがあります。結果的に子供の負担が増加してしまうので、将来を見据えて感情的な行動にならないように気をつけましょう。
多くの要望を伝えてくる親に、何度説明しても自分の状況を理解してくれないのは、子供の説明を無視しているだけとは限りません。高齢になると少しずつ理解力が低下していくため、早口で言われたり複数の情報を同時に伝えられたりすると、正確に理解できなくなります。
そのため、以下のポイントを意識して、親が理解しやすくなるように説明することが大切です。
例えば、「〇〇で仕事が忙しくて〇〇だから手伝えない」と説明するより、「仕事が忙しくて時間がないから手伝えない」と説明したほうが伝わりやすいです。ストレートに伝えるのは怖いかもしれませんが、理解してもらうことを優先にして簡潔に説明しましょう。
高齢になるとともに、言われたことを理解するのが難しくなるのは、若い頃に比べて集中力が低下するためです。説明や会話の内容に集中できていないため、言われたことをすぐに理解できず、何度も説明をしてようやく1つのことを理解できるのです。
そこで、親と話すときは、必ず目を見て話すように心がけましょう。目を見て話されると集中力が増すため、理解力が高まり、きちんと内容を理解してくれるようになります。また、目を見て話すことは信頼感を与えるため、放置されているような疎外感を与えず、信頼関係の悪化を防ぐことにもつながります。
高齢家族とのコミュニケーションは、対処法を実践したからといって必ず上手くいくとは限りません。そこで、最後に高齢家族と過ごす生活の中で、大きなストレスを感じたときに行う対処法を紹介します。
介護はいつまで続くか誰にもわかりません。そのため、最初はできていたことでも、介護期間が長くなると、ストレスや疲労が溜まりできなくなることもあります。
そういうときは無理をせず、適度に介護の負担を減らすことが大切です。一緒にいることが苦痛であれば、事前に準備をしたうえで外出する機会を設けて一人の時間を増やすのも良いでしょう。
終わりの見えない介護は、頑張り続けることはできません。常に完璧なケアをする必要はないので、力を抜いて介護に取り組みましょう。
在宅介護は、どうしても仕事や育児と並行して行う必要があるため、介護者にかかる負担は非常に大きくなります。そこで、デイサービスやショートステイといった介護サービスを利用することで、介護の負担を軽減することも有効です。特に、介護サービスを利用すると高齢家族と過ごす時間を減らすことにもつながり、精神的な負担も大きく軽減されます。
ただし、介護サービスの利用に否定的な方も多く、最初の説得には時間がかかるかもしれません。初めは数時間の利用から始めて徐々に期間を長くするなど、ケアマネジャーと協力して、介護サービスを利用する頻度を増やしていきましょう。
高齢になった親は、「何よりも自分が大切にされる」という価値観が正しいと思い、自分勝手な要求をするようになります。特に、自分の子供だからこそ遠慮や配慮のない言動をすることがあり、子供にとっては昔のように仲良くできないと思ってしまうのです。
ただ、親の介護はいつまで続くかわからず、関係が悪くなると日々のケアに悪影響を与え、介護者の負担がより大きくなります。そのため、常に完璧な介護を目指さず、介護サービスなどを利用して適度に力を抜くことも重要です。親と向き合い過ぎず、自分のことも大切にすることで、在宅介護の精神的な負担を軽減しましょう。
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