
「口の中がいつも乾燥している気がする。」「入れ歯を付けると口が痛くて食事ができない。」そんな悩みをお持ちのではありませんか? この記事では、ドライマウスと入れ歯の悩みを中心に、シニアの口内トラブルでの原因と対策について詳しく解説します。
シニアに多い口腔トラブルとは?

高齢になると、口内の老化などの影響により、口のトラブルが起きやすくなります。ここでは、高齢者に多い口のトラブル中でも、特に悩むことの多い2つのトラブルについて解説します。
口の乾燥が引き起こす問題 (ドライマウス)
「ドライマウス」とは、口の中が乾燥する状態を指します。高齢になると老化の影響で唾液の分泌量が減少するため、特別な理由がなくてもドライマウスになりやすくなります。また、服用している薬の影響で唾液の分泌が減少することもあります。そのため、健康に気を付けていても、気づかないうちにドライマウスになっているケースもあります。
ドライマウスの主な症状には、次のようなものがあります。
- 口や喉が乾きやすい
- 食事が飲み込みにくくなる
- 言葉の発声や発音がしにくくなる
このように、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼすため、口の乾きを感じたら、早めにドライマウス対策を始めることが大切です。
入れ歯が原因で起こる問題
若い世代とシニア世代の口内環境の大きな違いの一つが、入れ歯の有無です。食事をスムーズに摂るために装着する入れ歯ですが、この入れ歯が原因でさまざまな口のトラブルが生じることがあります。
入れ歯が原因で起こる口のトラブルの中で多いのが、歯茎の痛みです。入れ歯が歯茎の形や噛み合わせに合っていないと、装着中に痛みが発生することがあります。特に、食べ物を噛むときに痛みが生じると、十分に咀嚼できなくなり、噛む力そのものが低下するリスクもあります。
また、使用後の入れ歯のケアが不十分なことで、細菌の発生源となる場合もあります。入れ歯の清掃を怠ると、歯周病や誤嚥性肺炎などの深刻なトラブルを引き起こす可能性があるので、着用後のケアも口内の健康維持には重要です。
家庭でできる高齢者のドライマウス対策

ドライマウスは、口や喉の乾きだけではなく、場合によっては、誤嚥など深刻なトラブルの原因にもなります。ここでは、家庭で実践しやすいドライマウス対策を紹介してくので、できることから挑戦してみてくださいね。
加湿器を置く
ドライマウスの原因には、唾液の分泌量の減少に加えて、室内の乾燥も関係しています。特に高齢者は口呼吸をしていることが多いため、乾燥した環境で過ごしていると、それだけでドライマウスにもなりやすいです。
そのため、加湿器を使用して室内の湿度を適切に管理することが、ドライマウスの予防に有効です。特に、寝室など長時間過ごす場所が乾燥していると、ドライマウスのリスクが高くなるので、生活スタイルに合わせて適切な場所に加湿器を設置しましょう。
口の乾燥を防ぐ食べ物・飲み物
口内の乾燥を防ぐには、こまめな水分補給も効果的です。唾液の分泌量が減少した分、お茶や水で口内を潤すことで、ドライマウスになりづらくなります。もし、多くの水分を飲めない場合は、うがいの回数を増やすことで口内を潤すのがおすすめです。
また、柔らかいものより、硬い食べ物のほうが唾液の分泌を促します。食材を大きめに切るなど、食事内容を工夫することもドライマウス対策に繋がります。さらに、飴やガムなども唾液の分泌を促進するため、適度に活用するとよいでしょう。
口腔体操をする
シニアがドライマウスになりやすいのは、唾液の分泌量の低下や口呼吸に加え、口周りの筋力の低下も関係しています。そこで、口を大きく動かしながら発声する「あいうべ体操」を取り入れ、口周りの筋肉を鍛えることがドライマウス対策に有効です。
また、両耳を手でつかみ、前後にぐるぐる回す「耳下腺マッサージ」を適度に行うと、唾液の分泌を促す効果が期待できます。口腔体操やマッサージを継続して行い、口内の乾燥を根本から防ぎましょう。
かかりつけ医に相談する
ドライマウスの要因の中で、自分では対策が難しいのが服用している薬の影響です。口内が乾燥するからといって、自己判断で服用をやめることはできません。そのため、口内の乾燥が気になる場合は、かかりつけ医に相談し、別の薬に切り替えてもらうなどの対応をしてもらいましょう。
また、ドライマウスの症状を医師に相談すると、唾液の分泌を促す薬を処方してもらえることもあります。「治療のためだから仕方がない」と受け入れるのではなく、口の乾燥についても医師としっかり相談することが大切です。
入れ歯のケアと注意点

入れ歯は丁寧に扱っている方が多いと思いますが、ケアが不十分なことで、さまざまな口のトラブルを引き起こすことがあります。ここでは、入れ歯の正しいケア方法と注意点について解説しますので、日々のケアの参考にしてくださいね。
1.ブラッシング
入れ歯ケアの最初のステップは「ブラッシング」です。歯の部分だけでなく、装着する裏面も、ぬめりがなくなるまでしっかりと磨きましょう。
また、ブラッシングには通常の歯ブラシも使用できますが、大きな入れ歯の場合、裏面の溝が深く、汚れが落としにくいことがあります。そのため、入れ歯専用の歯ブラシを使い、丁寧にケアするのがおすすめです。
2.洗浄液につける
入念にブラッシングをした後は、洗浄液に入れ歯を漬けて汚れを落としましょう。洗浄液に定められた時間だけ漬けたら、水で溶液を流し、再度ブラッシングをして、浮き上がった汚れを落とします。この2つのステップを行うことで、入れ歯をより清潔に保てます。
また、入れ歯は乾燥に弱いので、洗浄後は専用の容器に水を入れ、その中で保管しましょう。
入れ歯を使っていて痛むときは
入れ歯の装着中に痛みが生じる場合は、クッションタイプの入れ歯安定剤を使ってみましょう。クッションタイプの入れ歯安定剤は、入れ歯と歯茎の間に入り込み、歯茎への衝撃を和らげながらフィット感を高めてくれます。そのため、通常の入れ歯安定剤よりも痛みが出にくくなるでしょう。
ただし、入れ歯がきちんとフィットしない場合、口内の形と入れ歯の形が大きくズレている可能性があります。クッションタイプの入れ歯安定剤を使っても痛みが解決しない場合は、歯科医と相談して調整や作り直しを検討することが必要です。