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在宅介護における年末年始の注意点とは~自宅で安全に過ごすために

実家帰省時の正月飾り

年末年始はおめでたい期間である一方、高齢者にとっては危険が多い時期でもあります。そのため、普段以上に注意深く在宅介護に取り組む必要があります。本記事では、年末年始に在宅介護が必要となる理由や、食事の注意点について解説します。特に、介護サービスが使えなくて急に自宅で過ごす必要が出た場合など、在宅介護に不安がある方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

年末年始に在宅介護が必要な理由

孫と過ごす高齢者

年末年始は特別なイベントであるため、ショートステイを利用している方や介護施設に入居している方でも、自宅で過ごす機会が増えます。ここでは、普段介護サービスを利用していても、年末年始に在宅介護が必要となる理由について解説します。

家族と一緒に過ごすため

年末年始は一年の中でも特別な時期であり、家族と一緒に過ごしたいと思う方も多いでしょう。特に、介護者の仕事などの都合で、普段は会えない親戚と顔を合わせる数少ない機会でもあるため、家族が被介護者に自宅で過ごしてほしいと考えることがあります。こうした理由から、年末年始はショートステイの利用を控えたり、介護施設から一時的に帰宅させたりすることで、在宅介護が必要となるケースが増えます。
ただし、自宅で過ごす場合でも、滞在期間は家庭によって異なります。例えば、親戚が集まる日だけ日帰りで過ごすケースや、家族の休みに合わせて1週間ほど帰宅するケースなどがあります。滞在期間によって介護者の負担は変わるため、被介護者の身体状態や介護者の状況などを考慮し、お互いに無理なく自宅で過ごせる計画を立てることが重要です。

介護サービスが使えないため

介護施設は一年を通じてサービスを提供していますが、ショートステイやデイサービスなどでは、人手不足などの理由から年末年始に営業していない場合があります。介護サービスを利用したくても利用できず、普段よりも自宅で過ごす時間が長くなることで、家族が担う在宅介護の負担が増加します。
また、年末年始は旅行などで遠出する家庭が増えるため、介護サービスを利用する方も増加します。特にショートステイは人気が高く、早期に予約が埋まってしまうことが多いです。普段と同じように予約を申し込んだところ、すでに満室となっていたため、想定外の在宅介護が発生することもあります。想定外の在宅介護で苦労しないよう、早めにケアマネージャーに利用を申し出しておくなど、しっかりと対策を講じることも大切です。

食事の誤嚥に要注意!

お雑煮

年末年始は普段と異なる特別な食事が増えるため、誤嚥事故が発生しやすい時期です。特に、普段介護サービスを利用している方の場合、一緒に食事をする機会が減っているため、どのような食べ物なら安全に食べられるかが分からなくなっていることもあります。そこで、安心して年末年始の食事を楽しむためのポイントを解説します。

年末年始はお餅の誤嚥事故が多発

年末年始に食べる食材の中で、特に誤嚥事故を起こしやすいのがお餅です。消費者庁が公表した資料によると、お餅による年間の死亡事故の43%が1月中に発生しており、特に1月1日から3日に発生した事故が全体の約70%を占めています。そのため、お餅を食べるときは、誤嚥事故を起こさないよう十分注意しましょう。
また、介護施設や介護サービスで食事をしている方は、軟らかく飲み込みやすい嚥下食を食べていることが多いです。このような方は、お餅のような食べづらい食材に慣れておらず誤嚥事故を起こしやすいため、細心の注意を払ってお餅を提供しましょう。

安全にお餅を食べる方法

高齢者がお餅で誤嚥事故を起こしてしまう要因には、お餅の粘り気が関係しています。お餅は他の食材よりも粘りが強いため、噛む力が衰えていると噛み切ることができません。さらに、粘りが強いため喉に張り付きやすく、きちんと飲み込めずに詰まらせてしまうことがあります。
そのため、高齢者にお餅を提供するときは、以下の2つのポイントを徹底しましょう。

  • 小さく薄く切る
  • お雑煮など、水分と一緒に提供する
また、誤嚥が発生してもすぐに対応できるよう、必ず高齢者のそばに誰かがいるようにし、食べる姿を見守ることも大切です。誤嚥を防ぐだけでなく、万が一の際にも迅速に対応できるよう準備することが、安全にお餅を食べるための重要なポイントです。

高齢者にはおせち料理にも注意が必要?

お正月の食事で、お餅と同様に注意が必要なのがおせち料理です。おせち料理には、根菜やこんにゃくなど、普段より硬い食材が使われていることが多いため、飲み込みやすくなるまで十分に噛み切れず、大きいまま飲み込んでしまい誤嚥する可能性があります。
さらに、おせち料理はもともと保存食として作られていたため、普段の料理よりも塩分が濃いものが多いです。高血圧などで塩分摂取量を制限している方は、健康に悪影響を与える可能性があるため、食べすぎないように注意しましょう。

何でもやわらか食にするのは避ける

孫と食事する祖母

高齢者は噛む力や嚥下能力が低下しているため、お餅以外にも誤嚥事故につながる食べ物が多く存在します。そのため、在宅介護中は常に軟らかい食事を提供したほうが良いと考えることもあるでしょう。
しかし、軟らかい食事ばかりを食べていると、現在よりもさらに噛む力や嚥下能力が低下し、誤嚥しやすい状況に陥る可能性があります。安全に配慮しながら、適度にかみごたえのある食べ物も取り入れることが、安全な食生活を維持するために重要です。

「在宅介護における年末年始の注意点とは! 自宅で安全に過ごすために」まとめ

年末年始はさまざまな理由から在宅介護が必要になるため、普段よりも介護負担が大きいと感じることがあります。特に、介護サービスを利用できなかった場合など、想定外の在宅介護が必要となったときは、慣れない介護に振り回されてしまうことも多いでしょう。

また、お餅やおせちといった年末年始ならではの食事は、高齢者にとって命を落とす危険があります。他の家族よりも小さく薄く切ったり、お雑煮などの汁物として提供したりして、安全に食べてもらえるよう工夫する必要があるため、苦労するかもしれません。
ただ、高齢の家族と一緒に年末年始を過ごす機会は思っているよりも少なく、来年も同じように過ごせるとは限りません。本記事を参考にして、楽しく安全に年末年始を過ごし、大切な思い出をたくさん作ってください。
SONOSAKI LIFEでは、健康づくりに役立つ情報や介護の「お悩み」に寄り添う情報をお届けしております。 他のコラムもぜひ、ご覧ください。

 記事監修 
  • 監修者写真
    若橋 綾
    株式会社DIGITALLIFE
    管理部
    介護支援専門員

     

  • 介護支援専門員や介護事業所の管理者として10年以上の現場経験があり、家族問題を抱える家族や虐待案件も含め様々なケースを担当。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、企業向けに介護離職予防を目的としたセミナーの開催や介護に関する記事作成を行うなど活躍は多岐にわたっている。