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高齢者の乾燥肌を防ぐ3つのポイント【脱水・湿度・保湿】

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冬の寒さが厳しくなると、介護が必要な高齢者はひっかき傷や湿疹、かぶれなどの肌トラブルが発生しやすくなります。これらの原因は、暖房の使用や湿度の低下、脱水によるものが多く、適切な保湿とケアが欠かせません。

この記事では、乾燥や脱水から高齢者の肌を守るための具体的な方法や実践的なケアのポイントを詳しく解説します。大切なご家族が快適に過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

高齢者の肌が乾燥しやすい原因は?

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高齢者にとって乾燥肌はよくある悩みのひとつです。肌が乾燥しやすくなる要因はいくつもあり、それらが複合的に作用することで乾燥状態が悪化していきます。

  1. 皮脂分泌の減少
    年齢を重ねると皮脂腺の活動が低下し、皮脂の分泌が減少します。皮脂は肌の表面を保護し、保湿する役割を果たしています。そのため、分泌が減ると肌が乾燥しやすくなります。
  2. 角質層の変化
    加齢に伴い、肌の最外層である角質層が薄くなり、その保水力も低下します。これにより、水分が蒸発しやすくなり、肌が乾燥しやすくなります。
  3. 新陳代謝の低下
    年齢と共に肌のターンオーバー(=新陳代謝)が遅くなり、古い角質が肌に残りやすくなります。これが乾燥の原因となり、新しい皮膚細胞の生成が遅くなることで、肌のバリア機能が低下します。
  4. 環境要因
    冬場は空気中の湿度が低くなるため、肌が乾燥しやすくなります。乾燥した空気は肌から水分を奪い、さらに乾燥を促進します。加えて、暖房の使用により室内の湿度が一層低下し、皮膚に炎症を起こすこともあります。
  5. 脱水
    冬は夏に比べて水分摂取の意識が低くなりがちで、意外と脱水を起こしやすい季節です。体内の水分が不足すると、肌の乾燥だけでなく、唾液の分泌や血流も悪くなり、さまざまな悪影響が生じます。
  6. 健康状態や薬の影響
    一部の慢性疾患や服用している薬が肌の乾燥を引き起こすことがあります。特に利尿剤や降圧剤などは、体内の水分バランスに影響を与える可能性があります。また、糖尿病や甲状腺機能低下症などの疾患も肌の乾燥を引き起こすことがあります。

特に冬場は脱水と湿度の管理、保湿がポイントになります。これを意識することで、肌の健康を保ち、トラブルによるストレスを軽減することができます。次に、具体的な対策について詳しく見ていきましょう。

ポイント1.水分の管理

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乾燥肌を防ぐためには、日々の水分管理が非常に重要です。適切な水分補給を習慣化し、乾燥によるトラブルを未然に防ぎましょう。

高齢者が脱水を起こしやすい理由

高齢者になると体内の水分蓄積量が減少する傾向があります。これは加齢に伴う生理的な変化によるもので、筋肉量の減少や、腎機能・感覚機能の低下などが関係しています。

  • 筋肉は水分を多く含んでいるため、筋肉量が減少すると体内の水分量も減少します。
  • 腎機能の低下により、体が水分を保持する能力が低下し、脱水状態になりやすくなります。
  • 感覚機能の低下により、喉の渇きを感じにくくなります。体が水分を必要としていることに気付かず、脱水症状が進行しやすくなります。

これらの要因が重なることで、高齢者は体内の水分が減少しやすくなります。

冬場の水分補給

喉の渇きを感じていなくても、定期的に水分を摂取する習慣をつけましょう。特に暖房を使う時期は注意が必要で、睡眠中の電気毛布や電気あんかなどは思った以上に体内から水分が蒸発します。入眠前や起床後、あるいは長時間暖房を使う場合は水分摂取を積極的に行いましょう。

高齢者は1日に約1,500mlの水分摂取を目安にすると良いでしょう。これは500mlのペットボトル3本分に相当します。一見多く感じるかもしれませんが、1日に体から失われる水分を考慮すると適切な量となります。

1日に排せつされる水分量
呼吸や皮膚からの蒸発 700~1,000ml
(暖房の状況で促進されます)
便で排せつ 200~300ml
尿で排泄 1,500ml
合計: 2,400~2,800ml
1日に体内に取り入れるべき水分量
体内で作られる水分 200~300ml
食事から摂れる水分 700~1,000ml
飲み物 1,500ml

脱水症状が進行すると、肌がさらに乾燥し、かゆみやひび割れ、炎症を引き起こすことがあります。特に高齢者の方は脱水になりやすいので、意識して水分を摂るようにしましょう。

ポイント2.湿度の管理

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暖房を使うときは、加湿器を使って室内の湿度を適切に保つことが大切です。湿度が適正に保たれていると、体内の水分が失われにくくなり、皮膚トラブルのリスクを減らせます。

適正な湿度

理想的な室内の湿度は40%~60%とされています。この範囲内の湿度を保つことで、快適で健康的な環境を作ることが可能です。

【40%以下】
湿度が低すぎると、喉や肌が乾燥しやすくなります。また、ウイルスの生存期間が延びるため、感染症のリスクも増加します。

【60%以上】
湿度が高すぎると、カビやダニが繁殖しやすくなり、アレルギーや喘息の原因となることがあります。

このように、室内の湿度管理をしっかり行うことで、健康リスクを抑え、快適な生活を送ることができます。

ポイント3.保湿ケア

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高齢者の乾燥肌を効果的に防ぐために、具体的な保湿ケアのポイントについて詳しく見ていきましょう。日々の習慣として取り入れることで、肌の健康を維持し、乾燥によるトラブルを防ぐことができます。

保湿ケアに適したタイミング

高齢者の乾燥肌を防ぐためには、毎日の保湿が欠かせません。特に、シャワーやお風呂上がりの肌がまだ湿っている状態で保湿クリームを塗ると、肌の水分を効果的に閉じ込めることができます。乾燥がひどい場合は、オイルタイプの保湿剤を使用するのも効果的です。

他にも、外の乾燥した空気から肌を守るためには、外出前に保湿を行うと効果的です。また、水分補給が長時間行えない入眠前に十分な保湿を行うことで、夜間の乾燥を防ぐことができます。

適切な入浴法とスキンケア

高齢者の肌は熱すぎるお湯で入浴すると、必要な油分まで取り除かれてしまいます。ぬるめのお湯(約38~40℃)で、長湯は避けましょう。また、強く擦らずに優しく洗うことが、肌を傷つけないコツです。洗顔料やボディソープも、低刺激で保湿成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。

食生活で乾燥肌を予防

乾燥肌を予防するためには、内側からのケアも欠かせません。ビタミンA、C、Eなどの抗酸化物質が豊富な食品や、オメガ3脂肪酸を含む魚やナッツ類を摂取することが肌の健康に役立ちます。水分も意識的に摂取し、特に温かいスープやお茶などを取り入れると、体を温めながら体内から乾燥を防ぐことができます。

医師に相談すべきサインと注意点

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日常のケアだけでは改善が見込めない場合や、症状が悪化していると感じた場合は、迷わず専門の医師に相談することが重要です。

乾燥肌が悪化した場合のサイン

乾燥肌がひどくなるとかゆみが増し、皮膚がひび割れて出血することがあります。次のような場合は、自己ケアだけでは改善しないことが多いため、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

【かゆみが強くなる】
肌の乾燥が悪化すると、かゆみが強くなります。睡眠の妨げになるほどのかゆみに悩まされることもあり、無意識に掻いてしまうことで傷や湿疹ができることもあります。

【皮膚のひび割れ】
乾燥が進行すると、皮膚がひび割れてくることがあります。ひび割れた部分から出血することもあり、痛みを伴います。ひび割れた皮膚は感染症のリスクも高まるため、早めの対策が必要です。

【赤みと炎症】
乾燥した肌が刺激を受けると、赤みや炎症を引き起こすことがあります。特に、かゆみを感じて掻いてしまうと、炎症が悪化することがあります。

【皮膚の硬化】
長期間の乾燥により、皮膚が硬くなり、柔軟性が失われることがあります。これにより、肌がざらざら(ごわこわ)と感じられるようになります。

【鱗屑(りんせつ/粉ふき)の発生】
乾燥した皮膚が剥がれ落ち、白い粉のような鱗屑が発生することがあります。これは、肌の表面が非常に乾燥しているサインです。

医療機関で受けられる治療方法

医師に相談すると、乾燥肌に適した外用薬やクリームを処方してもらえることがあります。また、乾燥が原因で皮膚に炎症を伴っている場合は、ステロイド外用薬などの治療が行われることもあります。特にひどい乾燥や痒みが続く場合は、専門的な治療を受けることが大切です。

高齢者の乾燥肌を防ぐ3つのポイントは【脱水・湿度・保湿】まとめ

寒さが厳しい季節は、体の外からも内からも肌の乾燥を防ぐケアを取り入れてください。介護が必要な高齢者は、皮膚トラブルが悪化すると回復に時間がかかります。さらに、回復過程でかゆみが強まり、掻きむしってしまうこともあります。これにより、介護者を悩ませる悪循環に陥ることも少なくありません。

この冬、大切なご家族の肌を守るために、適切な保湿と水分補給を心がけましょう。日々のケアが、快適な生活を支える大きな力となります。ぜひ、この記事のポイントを参考にして、肌の健康を保つための対策を実践してください。

 記事監修 
  • 監修者写真
    若橋 綾
    株式会社DIGITALLIFE
    管理部
    介護支援専門員

     

  • 介護支援専門員や介護事業所の管理者として10年以上の現場経験があり、家族問題を抱える家族や虐待案件も含め様々なケースを担当。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、企業向けに介護離職予防を目的としたセミナーの開催や介護に関する記事作成を行うなど活躍は多岐にわたっている。