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シニアが冬に運動するときの注意点|脈拍・血圧に注意

シニアが冬に運動するときの注意点

シニアに限らず、寒い季節になると外に出ることが億劫になり、運動不足になりがちです。しかし、冬でも適切な運動を続けることで、心身の健康を維持することができます。ただし、とくにシニアには冬特有の運動リスクも存在します。

今回は、そのシニアの冬季運動リスク回避をお伝えします。リハビリテーションの専門職も活用する「アンダーソン・土肥」の運動実施・中止基準と、日本リハビリテーション学会診療ガイドラインを参考に、血圧などへの注意点を交えながら安全な運動のポイントをお伝えします。

寒い冬こそ運動が大切な理由

寒い冬こそ運動が大切

寒さなどの気候要因やインフルエンザなど感染症の流行などがあるため、どんな人でも冬は運動しにくい環境になります。とくに屋外での活動が減少するので、たとえ屋内で運動をするように心がけていても、活動量全体が減少しがちです。

冬は気温の低下や日照時間の短縮により、屋外活動が制限される季節です。特に高齢者にとって、寒さは運動不足だけでなく、健康リスクを引き起こす大きな要因となります。寒冷環境では、以下のような身体的影響が生じる可能性があります。

  • 血圧の上昇:寒さによる血管の収縮で心血管系に負担がかかりやすい。
  • 筋肉の硬直:筋肉が冷えると柔軟性が失われ、転倒リスクが高まる。
  • 免疫力の低下:活動量の減少が体力低下を招き、感染症リスクが上昇。

また、寒い季節には心も影響を受けやすいとされています。日照時間の減少が冬季うつの一因となり、活動意欲の低下を招くことも。したがって、冬季運動は身体的・精神的健康を維持するための重要な要素です。

冬の運動がもたらすメリット

シニア世代が冬に運動を続けることで得られるメリットは多岐にわたります。

血流の改善

運動によって血流が促進され、冷え性やむくみを予防できます。冬に多い手足の冷えは、放置すると全身の代謝低下や不眠の原因になることも。軽い有酸素運動で血液循環を促し、体の芯から温める効果が期待されます。

筋力維持と転倒予防

筋肉量は加齢とともに減少(=サルコペニア)し、転倒リスクが増加します。冬は外出が減るため、運動を怠ると筋力低下が進行しやすいです。簡単なスクワットや足踏み運動を取り入れるだけでも、筋力維持に効果的です。

気分転換とストレス軽減

冬の室内生活は閉塞感を感じやすく、ストレスがたまりやすい季節でもあります。運動をすることで「エンドルフィン」というホルモンが分泌され、気分が明るくなります。また、ウォーキングなどは自然を感じることでさらなるリフレッシュ効果があります。

血圧・脈拍測定の役割

血圧・脈拍測定の役割

冬季運動を安全に行うためには、バイタル(血圧・脈拍)の管理が重要です。特に心血管系に疾患を抱えている人にとって、運動前後の体調チェックは不可欠です。

冬場は特に、寒さが心臓や血管に与える影響が大きくなるため、心血管系に異常をきたしてしまうこともあります。そうならないためにも、運動前にバイタルサインをチェックしておくことをおすすめします。

運動前の測定方法

運動前に血圧と脈拍を測定することで、無理のない運動を計画できます。以下の手順を参考にしてください。

  1. 静かな環境でリラックスし、正しい姿勢で測定します。
  2. 測定値が基準内に収まっているか確認します(脈拍:40~120回/分、血圧:70~200mmHg)。

測定時の注意点として、測定機器の正確な使用方法を理解し、記録を習慣づけることが挙げられます。

異常値が示すリスク

異常値が見られる場合、心臓に過度の負担がかかる可能性があります。無理に運動を行うことは避け、専門家に相談することが必要です。結果が以下の症状にひとつでも該当する場合は、運動を控えましょう。

運動を行わないほうがよいバイタルの状態

運動を行わないほうがよいバイタル
  • 安静時(身体を動かさずリラックスした状態)脈拍数:40回/分以下 または 120回/分以上
  • 安静時収縮期血圧(上の血圧):70mmHg以下または200mmHg以上
  • 安静時拡張期血圧(下の血圧):120mmHg以上
  • 運動前すでに動悸、息切れがある

運動中のバイタル管理

運動前のバイタル測定が正常だったとしても、いざ運動を始めたら不調になってしまうこともあります。運動中も以下を参考にして、運動中のバイタル測定を行いましょう。

途中で運動を中止する必要がある症状

途中で運動を中止する必要がある症状
  • めまい・嘔気・胸の痛みなどが出現した場合
  • 脈拍が140回/分を超えた場合
  • 収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

上のような結果になっていなくても、次のような状態のときは運動を一時中断し、回復を待って再開することが必要になります。

  • 脈拍数が120回/分を超えた場合
  • 軽い動悸、息切れを感じた場合

運動プランと具体例

冬に運動するシニア向け運動プランと具体例

冬に適した運動のメニューを以下に提案しました。安全を重視した計画を立て、定期的に実践しましょう。

  1. ウォームアップ(10分)
    • 軽いストレッチ:肩回しや足首の回転で筋肉を柔らかくします。
    • 深呼吸をしながら体をリラックスさせ、心拍数を整えます。
  2. メイン運動(20分)
    • 有酸素運動:室内での足踏み運動や屋外ウォーキングが効果的。特に屋外の場合は滑りやすい路面を避けるよう注意しましょう。
    • 筋力トレーニング:軽いスクワットや椅子を使った運動を取り入れます。
  3. クールダウン(10分)
    • 運動後のストレッチで筋肉をほぐし、血流を整えます。
    • 室温を確保し、体温低下を防ぐよう心がけます。

実践のためのアドバイス

  1. 適切な服装
    寒さを防ぐため、重ね着を工夫しましょう。吸湿性の高いインナーや防風性のあるアウターが適しています。
  2. 運動仲間を見つける
    家族や友人と一緒に運動をすることで、モチベーションを維持できます。
  3. 定期的な記録
    血圧や脈拍のデータをノートやアプリに記録し、健康管理に役立てましょう。

シニアが冬に運動するときの注意点|脈拍・血圧に注意のまとめ

冬でも適切な運動は健康維持に重要ですが、シニアには特有のリスクがあります。運動前後に血圧や脈拍を確認し、安全に運動を行うことが必要です。

冬の運動には血流改善や筋力維持、気分転換などの効果があります。ただし、寒さが筋肉や心血管系に与える負担を考慮し、運動前後の準備やバイタル測定を徹底しましょう。

運動前にストレッチやバイタル確認を行い、適切な運動強度を確認します。運動中に異常を感じたら中断し、運動後は体を冷やさないよう注意することが大切です。また、バイタル測定を習慣にすることで日々の健康管理にもつながることが期待できます。安全を第一に冬の運動に取り組むための参考となりましたら幸いです。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。