
「両親の病院付き添いが大変!」「通院時は毎回気分が滅入る……。」
介護が必要な高齢者(以下、高齢者)の病院付き添いは、病院への移動や着替え介助など、やらないといけないことが多いため、言葉のイメージ以上に介護者にかかる負担が重いケアです。本記事では、高齢者の病院付き添いを楽にするための方法を詳しく解説していくので、通院時の大変さに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
付き添いの負担が大きくなる理由とは?

日々の介護の中で、大きな負担を感じてしまう介護として、両親の病院の付き添いを挙げる方が多くいます。ここでは、高齢者の病院の付き添いが大変だと感じてしまう主な理由について解説します。
移動(車・バス・電車)が大変
病院への付き添いで介護者が感じる負担の中で、特に大きいのが介助しながらの移動です。公共交通機関を使う場合、車椅子を押しながら移動したり、段差があるところでは車椅子を持ち上げることが必要になったりと、介護者にかかる肉体的・精神的疲労はとても大きいです。
一方で、自家用車を利用する場合も便利とは限りません。車への乗り降りの介助や長時間の運転、駐車場から病院までの移動介助など、決して手間が少なくなるわけではありません。
このように、どのような移動手段を選んでも介護者への負担は大きいため、病院への付き添いが辛く感じてしまう大きな要因となっています。
通院回数が多い(慢性疾患・定期検査)
高齢者の通院理由で多いのは、慢性疾患の診察や手術後の経過観察など、定期的な診察です。体調が悪くなったときだけに通うわけではなく、月に1回など、あらかじめ予定が組まれている場合が多いです。
そのため、本人の調子が良くても通院する必要があり、介護者は常に付き添う必要があります。通院の回数が多く、しかも減らすことが難しい点も、介護者にとっては大きな負担となっています。
仕事や家庭と両立が難しい
病院は基本的に平日のみ診療を行っているため、付き添う介護者は仕事を休まなければならない場合が多くなります。さらに、通院先が遠方だったり、大学病院だったりすると、移動や診察の時間が長くなり、通院だけで丸一日かかってしまうことも珍しくありません。
そのため、家事や育児への影響も大きく、通院が終わったらすぐに買い物や保育所へお迎え行くなど、休む暇がないこともあります。スケジュール管理だけでなく、仕事や家事などで、他人からの評価や反応が気になったり、疲れたまま自分の用事をこなしたりすることが、さらなるストレスにつながります。
通院付き添いの負担を減らす5つの方法

通院の付き添いは、介護者へ大きな負担をかけてしまい、負担がかかる期間が長引くほど介護者の生活や心身へ悪影響をもたらす要因にもなります。ここでは、通院の付き添い時の負担を減らす効果的な方法を紹介していきますので、できることから実践してみましょう。
通院の回数を減らせるか担当医と相談する
定期的な通院や検査が必要な場合でも、症状が安定していると感じられるときには、通院の回数や頻度を減らせないか、担当医に相談してみましょう。月に1度の通院が3ヶ月に1度になるだけでも、介護者にかかる負担は大幅に軽減されるため、付き添いが難しいといった事情もふまえて相談してみてください。
また、訪問診療の導入や、自宅近くの病院への切り替えについて相談してみるのも良いでしょう。病気の種類によっては、複数の治療方法から選べる場合があるので、担当医としっかりと話し合い、無理のない通院スタイルを検討しましょう。
自費のヘルパーサービスや介護タクシーを活用
付き添い自体の負担を軽減するためには、「自費のヘルパーサービス」や「介護タクシー」の活用がおすすめです。付き添いサービスとは、家族に代わって通院時の送迎や診察への付き添いを行うサービスです。「通院介助」に該当し、介護保険が適用される場合もあるため、ケアマネジャーと相談して効率良く活用しましょう。
一方、介護タクシーは、ひとりでの通院が難しい方を対象に送迎を行うサービスです。車椅子ごとの乗車が可能など、通院時の移動負担を大幅に軽減できます。サービス内容によっては、着替えの介助にも対応している場合があるので、院内の付き添い以外の負担も軽減してくれます。
事前予約の活用
通院に時間がかかる主な要因のひとつが、診察までの待ち時間の長さです。特に、季節の変わり目などは受診者が増えるため、1時間以上の待ち時間が発生することも珍しくありません。
そのため、定期通院に限らず初診の際にも事前予約を行い、できる限り待ち時間を減らすことが、介護者の負担軽減につながります。ただし、予約していても実際の診察まで時間がかかる場合もあるため、ある程度の待ち時間は覚悟しておきましょう。
診察時のやりとりをスムーズに
病院へ行く機会は多くないため、体調についていろいろと質問したくなるかもしれません。
質問が多いこと自体は体調管理の面で良いことですが、高齢者の診察では体調の話から雑談へと発展してしまうことも少なくありません。そのため、事前に担当医へ聞きたいことをメモにまとめておくことや、診察中に話が脱線した際には上手く話題を切り上げることが大切です。こうした工夫を通して、診察をスムーズに終わらせ、通院にかかる時間を短縮させましょう。
家族や地域の支援を活用
通院付き添い時の負担をいくら軽減しても、介護を1人で担っていると、いずれ限界を迎えてしまうでしょう。そのため、兄弟や親戚など他の家族と連携し、付き添いを順番制にするなどして、特定の人に負担が集中しないようにすることが大切です。
病院付き添いの負担を減らすためにできること

病院付き添いの当日は、着替え介助など出発前からやることが多く、病院に到着する頃にはすでに疲れてしまうこともあります。そこで、付き添い当日にやることを少しずつ用意しておき、当日にやることを減らすことで、身体的にも精神的にも楽になりましょう。
具体的には、次のような準備をするように心がけましょう。
- 診察に必要なアイテムの整理(健康保険証、診察券、おくすり手帳、紹介状など)
- 病院までの移動経路の確認や、介護タクシーや自費のヘルパーサービスの予約
- 当日の体調管理に必要なもの用意(服用中の薬、体温調節用の上着、飲み物など)
また、付き添い当日は心身ともにとても疲れてしまうため、前日は早めに寝たり、リラックスする時間を普段より長めに確保したりして、自身の心身を整えておくことも大切です。
ただし、こうした準備が当日までに間に合わなくても、気に病む必要はありません。少しでも準備ができていれば、その分当日の負担は確実に軽減されます。普段の介護と並行しての準備は難しいことも多いので、付き添う当日の負担を複数の日で分散するようなイメージで、できることから取り組んでみてくださいね。
高齢者の病院付き添いを楽にする方法 まとめ
高齢者の病院付き添いというと、一緒に通院するだけの簡単な介助だと思われがちですが、実際には大きな負担が伴います。着替えや移動の介助、病院での長い待ち時間、平日のスケジュール管理など、介護者にかかる負担は大きく、何度も付き添いしていると辛く感じることもあります。
そこで今回ご紹介したように、福祉・介護サービスを上手に活用することで、病院付き添いの負担を軽減し、無理のない介助体制を整えることが大切です。いつまで続くか分からない通院だからこそ、介護者が辛くならないよう、しっかりと対策してくださいね。
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