災害時、高齢者のいる家庭では一般的な防災備蓄だけでは十分とはいえません。
介護食や栄養補助食品、水分補給ゼリー、大人用紙おむつなど、身体状況や介護の必要性に応じた備えが必要です。
本記事では、高齢者や要介護者のいる家庭が備えておきたい防災用品や防災備蓄リスト、ローリングストックのポイントについて解説します。
高齢者のいる家庭向け防災備蓄の重要性|なぜ特別な備えが必要?
9月1日の「防災の日」は、防災用品や備蓄を見直す絶好のタイミングです。
近年、大規模災害が頻発し、防災意識が高まるなか、特に高齢者のいるご家庭の防災備蓄は、一般的な備えとは異なる視点での準備が必要です。
加齢による身体機能の変化や持病、要介護度に応じた備えが、万が一の際の命を守る重要な鍵となります。
また、9月は夏の疲れが残りやすく、高齢者の食欲が低下しやすい時期でもあります。
災害時の備えと合わせて、普段から介護食や栄養補助食品、水分補給用品の備蓄を見直しておくことが大切です。
要介護者の防災は「在宅避難」を想定する
避難所での生活は、高齢者、特に要介護者にとっては大きな負担となりかねません。
プライバシーの確保が難しく、慣れない環境でのストレス、感染症のリスク、介護用品や医療器具の不足などが課題となります。
そのため、自宅の安全が確保できる場合は、在宅避難も有力な選択肢とされています。
在宅避難を想定することで、より詳細で個人に合わせた備蓄計画を立てることができます。
避難生活での健康被害や災害関連死を防ぐために不可欠な「自宅の環境整備」と、在宅避難を支える備えのポイントについて詳しく解説しています。
高齢者のための非常食と介護食の選び方
災害時でも栄養をしっかりと摂り、健康を維持するためには、高齢者に適した非常食と介護食の備蓄が不可欠です。
単に日持ちするものを選ぶだけでなく、嚥下(えんげ)機能や栄養バランスを考慮した選択が重要になります。
嚥下食や介護食の種類と備蓄のポイント
高齢者のなかには、食べ物を噛む力や飲み込む力が低下している方も少なくありません。
通常の固い非常食では、誤嚥(ごえん)のリスクや栄養不足につながる可能性があります。
そこで活用したいのが、嚥下食や介護食です。
- やわらか食: 舌でつぶせる、歯ぐきでつぶせる、容易にかめるなど、段階に応じた食品があります。
おかゆ、煮込み料理、ムース食などが該当します。 - とろみ剤: 水分を摂取する際に誤嚥を防ぐために、飲み物にとろみをつけるための粉末です。
水やお茶だけでなく、汁物にも使えます。 - 栄養補助食品: カロリーやタンパク質を効率的に摂取できる高栄養ゼリーやドリンクタイプのもの。
食欲がないときにも手軽に栄養補給ができます。
災害時でも普段の食事に近い形や栄養を摂れるよう、日ごろから好みの介護食を把握し、備蓄品に加えておきましょう。
災害時は食事量の減少やストレスによって、栄養不足になる可能性があります。
普段から飲み慣れた栄養補助食品を備蓄しておくことで、災害時はもちろん、夏の疲れなどで食欲が低下した場合でもエネルギーやたんぱく質を補給しやすくなります。
8種類の味を1本ずつ試せるお試しセットなので、まずは好みの味を見つけてから備蓄量を決めるのもおすすめです。
また、噛む力や飲み込む力が低下している方には、やわらかな食感の介護食を備えておくことも大切です。
缶詰タイプで賞味期限が長く、常温保存できるため、災害時の備蓄食としても活用しやすい商品です。
水分補給ゼリーと経口補水液の活用
高齢者は喉の渇きを感じにくい傾向があり、脱水症状を起こしやすい特徴があります。
災害時は、十分な水分摂取が難しくなることも想定されます。
- 水分補給ゼリー: 食欲不振時でも摂取しやすく、効率的に水分と電解質を補給できます。
備蓄する際は、賞味期限や保存方法(冷暗所保存が必要なものが多い点)を確認しておきましょう。 - 経口補水液: 発熱や下痢などで体内の水分や電解質が失われた際に、水分と電解質を補給しやすいように調整された飲料です。
いざという時のために、粉末タイプやペットボトルタイプの備蓄をおすすめします。
高齢者は災害時に脱水リスクが高まりやすいため、水だけでなく水分補給ゼリーの備蓄も検討しておきましょう。
離水が少なく、液体が飲み込みにくい方でも適度な速さで飲み込みやすいゼリー飲料です。
食欲がないときでも摂取しやすく、在宅避難時の水分補給にも役立ちます。
賞味期限は製造日より8か月、冷暗所での保存が必要なため、ローリングストックでの管理がおすすめです。
ローリングストックで常に新鮮な備蓄を
非常食や介護食、水分補給ゼリーなどには賞味期限があります。
食べたら買い足す「ローリングストック」を日常的に実践することで、常に新しい備蓄品を保つことができます。
日常的に食べているレトルト食品やフリーズドライ食品などを多めに購入し、古いものから消費していく習慣をつけましょう。
おむつなど介護用品の準備
身体の不自由な高齢者の場合、衣類や寝具を汚さずに生活するための大人用紙おむつの備えは非常に重要です。
また、衛生用品も忘れずに準備しましょう。
介護用品の備蓄リスト
- 使い捨ておむつ・パッド: 普段使用している種類のものを、最低でも5〜7日分程度を目安として備蓄します。
サイズが合わなくなったり、吸収量が不足したりする場合があるので、少し多めに用意し、定期的にサイズや種類の見直しを行いましょう。 - 清拭剤・ウェットシート: 入浴ができない状況でも体を清潔に保つために必須です。
洗い流し不要のタイプが便利です。 - 口腔ケア用品: 歯ブラシ、歯磨き粉、洗口液、口腔ケア用ウェットシートなど。
誤嚥性肺炎の予防にもつながります。 - 介護用手袋: 介助者の感染症予防、衛生管理に役立ちます。
- ビニール袋・ゴミ袋: 使用済みおむつの処理や簡易トイレ、水の運搬など多用途で使えます。
消臭機能付きの袋も便利です。 - 常備薬・処方薬: かかりつけ医と相談し、多めに処方してもらうか、服用している薬のリスト(お薬手帳のコピー)と連絡先を携帯しましょう。
- 補聴器の電池・眼鏡の予備: 視覚や聴覚を補助する器具も、不測の事態に備えて予備や替えを用意しておきましょう。
災害時には物流の停滞により、普段利用している介護用品が手に入りにくくなる可能性があります。
特に大人用紙おむつや尿取りパッドは毎日の生活に欠かせないため、ローリングストックを取り入れながら備蓄しておくことが大切です。
全面通気性で蒸れにくく、前後どちらでも装着できるパンツタイプです。
パッケージも「一見しておむつと分からない」デザインになっており、備蓄品としてもストックしやすい商品です。
ワンタッチテープでパンツに簡単に装着でき、上げ下げしてもズレにくいパッドです。
リハビリパンツと組み合わせて使うことで、普段の使用はもちろん、非常時の備蓄としても安心してご活用いただけます。
防災備蓄リストの作成と定期的な見直し
効果的な備蓄のためには、家族構成や健康状態に合わせた防災備蓄リストの作成と、定期的な見直しが不可欠です。
備蓄リストに含めるべき項目
- 水: 飲料水として1人1日3Lを目安に3〜7日分。
生活用水も考慮。 - 食料: 非常食(カロリーメイト、ビスケットなど)、介護食(やわらか食、栄養補助ゼリーなど)を3〜7日分。
- 介護用品: 使い捨ておむつやパッド(5〜7日分)、清拭剤、水分補給ゼリー、経口補水液、口腔ケア用品、ビニール袋など。
- 衛生用品: マスク、消毒液、ウェットティッシュ、生理用品など。
- 医薬品: 常備薬(処方薬含む)、絆創膏、消毒液、体温計など。
- その他: 懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、現金、保険証・お薬手帳のコピー、笛(助けを呼ぶため)、防寒具、簡易トイレなど。
家族で共有し、定期的に見直す
作成した備蓄リストは、家族全員で共有し、どこに何があるかを確認しておきましょう。
また、季節の変わり目や最低でも年に一度は、ローリングストックで消費した分の補充や、賞味期限切れの確認、家族の健康状態や介護状況の変化に合わせて内容を見直すことが重要です。
よくある質問(FAQ)
- Q1: 高齢者向け防災備蓄の最低限の期間はどのくらいですか?
- A1: 一般的には「3日分」が推奨されていますが、高齢者のいる家庭、特に要介護者がいる場合は、最低でも1週間分の備蓄が望ましいとされています。
災害の規模やライフラインの復旧状況によっては、さらに長期化する可能性も考慮しましょう。 - Q2: 介護食の備蓄で特に注意すべき点は何ですか?
- A2: 介護食は、個々の嚥下能力やアレルギー、持病(糖尿病、腎臓病など)に対応したものを選ぶことが重要です。
また、普段から食べ慣れている味や形状のものを備蓄することで、災害時のストレス軽減にもつながります。
とろみ剤や水分補給ゼリーも忘れずに備えておきましょう。 - Q3: おむつはどのくらい備蓄すれば良いでしょうか?
- A3: 使用状況にもよりますが、普段の消費量から最低5日分、できれば1週間分を備蓄しておくと安心です。
在宅避難を想定する場合は、さらに余裕を持った量を用意し、定期的にサイズや吸収量、フィット感を確認しながらローリングストックを実践しましょう。
現在使用しているおむつやパッドをそのままローリングストックとして活用すると、サイズ違いや使用感のミスマッチを防ぎやすくなります。 - Q4: 経口補水液と水分補給ゼリーはどちらを備蓄すべきですか?
- A4: どちらも高齢者の水分・電解質補給に役立ちますが、役割が少し異なります。
経口補水液は脱水時の迅速な補給に適しています。
水分補給ゼリーは、液体が飲み込みにくい方でも水分を補給しやすい形状です。
食欲がないときや水分摂取量が少ないときの備えとして、経口補水液などと併せて用意しておくと安心です。 - Q5: 在宅避難が難しい場合の備えはありますか?
- A5: 自宅が被災し在宅避難が困難な場合は、指定避難所への避難を検討する必要があります。
その際には、非常持ち出し袋に介護用品や常備薬を優先的に入れるとともに、避難所の環境や開設状況を事前に確認しておくことが大切です。
また、地域によっては福祉避難所の情報も収集しておきましょう。
まとめ|高齢者のいる家庭で実践したい防災備蓄と介護用品の備え方
高齢者のいる家庭における防災備蓄は、一般的な水や食料の備えに加えて、ご本人の身体状況や介護度に合わせた準備が大切です。
本記事では、災害時に備えておきたい介護食や水分補給ゼリー、経口補水液、大人用紙おむつなどの介護用品の備蓄について解説しました。
普段から使い慣れている食品や介護用品を少し多めに用意し、使った分を買い足すローリングストックを取り入れることで、無理なく備えを続けやすくなります。
また、在宅避難を想定する場合は、非常食や嚥下食、衛生用品、常備薬などを含めた防災備蓄リストを作成し、定期的に見直しておくと安心です。
万が一の事態に備え、ご本人の体調や食べる力、排泄ケアの状況に合わせて、ご家族で必要なものを確認しておきましょう。
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