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【理学療法士が教える】転倒予防につながる、ふくらはぎエクササイズのコツ

元気に散歩をするおばあさん

高齢になると筋力の低下やバランス能力の衰えにより、転倒のリスクが高まります。特にふくらはぎの筋肉は歩く、立ち上がる動作の際に重要な役割を果たし、弱くなると転倒の原因になりやすいです。そこで、本記事では転倒予防につながるふくらはぎのエクササイズのコツをご紹介します。

ふくらはぎの役割

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれています。これは、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩(しかん)を繰り返すことで、足にたまった血液を心臓に戻すポンプの役割を果たすためです。長時間座っていると足がむくむのは、ふくらはぎの筋肉が動かないことで血流が悪くなるためです。

また、歩く・走るときの推進力も担っています。ふくらはぎの筋肉が収縮することで、かかとを持ち上げ、前に進む力を生み出します。特に階段を上るときや、つま先立ちをするときに強く働きます。

ふくらはぎと転倒リスクの関係

ふくらはぎの筋力が低下すると、以下のような問題が生じやすくなります。

  • 足がすぐに疲れ、歩行速度が低下する
  • つまずきやすくなる
  • 立ち上がるときにふらつく

人体はバランスを維持するために、「足関節戦略」「股関節戦略」「ステッピング」という3つのバランス戦略を無意識に行っています。

足関節戦略とは

足関節戦略の解説画像

足関節戦略は、画像のように足首を軸として、細かな動きで姿勢を調整する方法であり、身体の小さな揺れに対応します。

股関節戦略とは

股関節の解説画像

股関節戦略は、股関節の動きを利用してバランスを取る方法です。体全体を前後に曲げたり伸ばしたりすることで大きな揺れに対応します。

ステッピングとは

ステッピングの解説画像

ステッピングは、歩行中などバランスを崩した際に足を踏み出して体勢を立て直す方法です。

足関節戦略は日常のバランス調整において重要ですが、高齢になると足首の柔軟性やふくらはぎの筋力が低下することで、特に機能が低下しやすいと言われています。

結果として、小さな揺れに対応できず、転倒のリスクが高まります。足関節戦略を適切に働かせるためにも、ふくらはぎの筋力を維持・向上させることが重要です。

転倒予防につながるふくらはぎエクササイズ

ここでは、特別な器具を使わずにできるシンプルな運動方法をご紹介します。

1. かかと上げ&つま先あげ運動

かかと上げ・つま先あげ運動のやり方
  1. 壁や椅子につかまり、まっすぐ立つ
  2. ゆっくりとかかとを上げ、つま先立ちになる
  3. 2~3秒キープした後、ゆっくりとかかとを下ろす
  4. ゆっくりとつま先を上げ、2~3秒キープする
  5. 5~10回を1セットとして、2~3セット行う

運動のポイント

  • 背筋を伸ばし、バランスを崩さないようにする
  • かかと上げはなるべく高く背伸びをして、ふくらはぎに力が入っていることを意識する
  • ゆっくりと動かし、反動をつけない

2. 座って行うかかと上げ&つま先あげ運動

立って行うことが難しい方はこちらがおすすめです。

座りながら、かかと上げ・つま先あげ運動のやり方
  1. 椅子に座り、膝の上に手をつく
  2. つま先を床につけたまま、かかとを上げる
  3. 2~3秒キープしてから、ゆっくり下ろす
  4. かかとを床につけたまま、つま先を上げる
  5. 2~3秒キープしてから、ゆっくり下ろす
  6. 10~15回を1セットとして、2~3セット行う

運動のポイント

  • ふくらはぎとすねの筋肉を意識しながら足首を動かす
  • 無理のない範囲で行う

3. つま先歩き

日頃からウォーキングに取り組まれている方には、ウォーキングの途中にこちらを取り入れることがおすすめです。

つま先歩きのやり方
  1. つま先立ちで5~10メートルほど歩く
  2. バランスを保ちながらゆっくり歩く
  3. 2~3回繰り返す

運動のポイント

  • 転倒しないように壁沿いや手すりがある場所で実施する
  • 背筋を伸ばし、まっすぐ前を見る
  • 痛みがある場合は無理をせず中止してください

ふくらはぎエクササイズ まとめ

ふくらはぎを鍛えることは、転倒予防に効果的です。日常生活の中で簡単に取り組めるエクササイズを継続することで、歩行や立ち上がりの安定感が増し、自信を持って動けるようになります。無理せず、自分のペースで楽しく続けてみてください。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。