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高齢者が家の中で転ぶのはなぜ? 秋冬前に見直したい住環境チェック

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「最近、親がよくつまずくようになった気がする」
「実家の階段や浴室を見るたびに、転倒しないか心配になる」
そんな不安を抱えている方は少なくありません。

高齢者の転倒は、筋力低下だけでなく住環境の見直しも大きく関係していると考えられています。転倒による骨折は、その後の生活に影響する場合もあるため、早めに住環境を見直しておくことが安心につながります。

この記事では、高齢者が家の中で転びやすい理由や、転倒しやすい場所、家族が実家で確認したいポイントについてわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 高齢者の転倒は、筋力低下だけでなく住環境も関係すると考えられています
  • 転倒は玄関や廊下、トイレなど身近な場所でも起こる場合があります
  • 段差や照明などの見直しが転倒予防につながる可能性があります
  • 秋冬は日照時間や気温の変化から転倒リスクが高まりやすい時期といわれています
  • 帰省時の数分のチェックが、離れて暮らす親の安心につながる場合があります

高齢者が家の中で転びやすくなる理由

高齢者が家の中で転びやすくなる理由

高齢者が自宅で転びやすくなる理由は一つではありません。筋力やバランス能力の低下、視力の変化、服薬や持病の影響に加え、段差や照明といった住環境も転倒に関係すると考えられています。

転倒による骨折が「介護」のきっかけになることも

高齢者の転倒では、手首や大腿骨近位部(足の付け根付近)などを骨折するケースが少なくありません。骨折の治療で体を動かさない期間が長引くと、少しずつ活動量が減っていきます。その結果、全身の筋力低下が進み、これまでは一人でできていた日常生活の動作が難しくなり、要介護状態につながる場合もあるとされています。

転倒を防ぐことは、親が住み慣れた家で自分らしい生活を続けるための介護予防にもつながります。

出典:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

加齢による筋力やバランス能力の低下

年齢を重ねると、脚や体幹の筋力やバランス能力の低下が進み、歩行時の姿勢を保つ力も弱まりやすくなります。とっさに体勢を立て直す反応も遅くなるため、わずかな段差やつまずきが転倒につながりやすい状態です。

視力や身体機能の変化

加齢に伴い、視力や視野の変化、明暗の差に対応する力の低下が起こることがあります。照明が不十分な廊下やトイレでは段差や物の位置が見えにくくなり、転倒のリスクを高める一因となります。

服薬や持病による影響

血圧を下げる薬や睡眠導入剤など、服薬の副作用によってはふらつきや立ちくらみが起こるケースも考えられます。複数の薬を併用していると副作用が重なりやすくなるため、気になる症状があれば医師や薬剤師に相談することもひとつの方法です。

家の中で転倒しやすい場所とチェックポイント

家の中で転倒しやすい場所とチェックポイント

家の中でも、特に転倒が起こりやすいとされるのが玄関や廊下、階段、浴室・脱衣所、トイレ、寝室です。それぞれ「どのような場面で転びやすいか」「家族はどこを確認すべきか」を実践的な一覧にまとめました。実家をチェックする際の目安としてご活用ください。

場所 起こりやすい転倒 家族が見るポイント
玄関 上がり框(かまち)の段差でつまずく、靴の脱ぎ履きでバランスを崩す 手すりの有無、段差の目印、腰掛けられるいすの設置
廊下 暗い中での移動、カーペットのめくれやコードへのつまずき 照明の明るさ(足元灯)、床に物が置かれていないか、滑り止めの有無
階段 下りる際のふらつき、足を踏み外す 手すりの設置(できれば両側)、段鼻の滑り止めテープ、明るい照明
トイレ 立ち座り時のふらつき、夜間の暗い中での方向転換 立ち上がるための手すり、便座の高さ調整、足元灯の設置
浴室・脱衣所 濡れた床での滑り、脱衣所との温度差による負担(立ちくらみ) 滑り止めマット、浴室用手すり、脱衣所の暖房器具の有無
寝室 布団やベッドから起き上がる際のふらつき、夜間の移動でのつまずき ベッド脇の照明、トイレまでの動線上の障害物、手すりバーの活用

消費者庁の公表資料でも、高齢者の自宅内での転倒事故は「浴室・脱衣所」「ベッド・布団」「玄関・勝手口」「階段」などで多く報告されており、自宅内の身近な場所でも転倒事故が起こりやすいことが分かります。

出典:10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!|消費者庁

秋冬前に見直したい住環境チェックリスト

秋冬前に見直したい住環境チェックリスト

秋から冬にかけては、日照時間が短くなることで薄暗い時間帯の移動が増え、足元が見えにくくなります。また、気温が下がると血管が収縮し、立ち上がった際の血圧変動によるふらつきが起こりやすくなるほか、厚手の衣類や室内履きによって動きにくさを感じる場合もあり、つまずきやすくなることもあります。

季節特有の要因が重なるため、秋冬前に一度住環境を見直しておくと安心です。

  • 照明は十分な明るさがあるか(夜間の足元灯など)
  • 床に電源コードや物が置かれていないか
  • カーペットやマットがめくれたり滑ったりしていないか
  • 手すりが適切に設置されているか
  • 段差がある場所に目印やスロープなどの工夫があるか
  • 浴室に滑り止め対策があるか
  • 脱衣所や浴室が極端に冷え込んでいないか
  • 履物はサイズが合っており、脱げやすくなっていないか

家庭でできる転倒予防対策

家庭でできる転倒予防対策

照明については、足元灯(人感センサー)を廊下やトイレの入り口に設置すると、夜間でも足元を確認しやすくなります。

手すりの設置や段差の解消は、階段や浴室、トイレなど立ち座りや昇り降りの動作が多い場所で特に有効です。賃貸住宅などで工事が難しい場合は、置き型の手すりや突っ張り式のタイプも検討できます。あわせて、日ごろから歩行やストレッチなど軽い運動を続けることが、筋力やバランス能力の維持に役立つ場合があります。

住環境の見直しに加えて、日ごろから転倒予防を意識した生活習慣を続けることも大切です。理学療法士が解説する具体的な転倒予防対策については、こちらの記事も参考にしてみてください。

家族が気を付けたいポイント(声かけの工夫)

家族が気を付けたいポイント(声かけの工夫)

離れて暮らす家族の場合、親自身が住み慣れた環境の危険に気づきにくいため、第三者の視点で確認することが役立ちます。

しかし親自身は、「まだ大丈夫」「不便は感じていない」と思っていることも少なくありません。そのため「危ないから変えて」と伝えるより、

「もっと楽に使えるかもしれないね」
「夜に安心して歩けるようにしておこうか」

といった声かけの方が受け入れられやすい場合があります。「危ないから」と指摘するのではなく、親の気持ちを尊重して一緒に考える姿勢で声をかけてみてください。

こんな場合は専門家への相談を検討しましょう

こんな場合は専門家への相談を検討しましょう

以下のような様子が見られる場合は、地域包括支援センターやかかりつけ医、ケアマネジャーへ相談することを検討してみるとよいでしょう。

  • 最近つまずいたり、ふらついたりすることが増えた
  • 歩くスピードが遅くなった、歩幅が小さくなった
  • 服薬の種類が増え、ふらつきやめまいを感じることがある
  • 一人で入浴や階段の昇り降りをすることに不安がある
  • すでに一度、家の中で転倒したことがある

理学療法士や作業療法士による住環境の評価を受けられる自治体のサービスもあります。介護保険を利用した住宅改修ができる場合もあるため、早めに問い合わせておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 転倒しやすい高齢者の特徴はありますか?
A. 筋力やバランス感覚が低下している方、複数の薬を服用している方、過去に転倒した経験がある方などは、転倒リスクが高まりやすいといわれています。
Q. 夜間の転倒を防ぐ方法はありますか?
A. 寝室からトイレまでの動線に人感センサー付きの足元灯を設置する、床に物を置かない、ベッドの脇に手すりや掴まれる家具を配置するなどの工夫が有効です。
Q. 手すりはどこに設置するとよいですか?
A. 玄関の上がり框、階段、トイレ、浴室など、段差がある場所や「立ち座り」の動作が発生する場所に設置すると、姿勢の保持に役立ちます。
Q. 転倒したことがなくても対策は必要ですか?
A. はい。転倒は骨折などにつながる場合があるため、何も起きていない元気なうちから環境を整えておくことが予防につながります。
Q. 転倒予防のために家庭でできることは何ですか?
A. 照明を明るくすること、床の物を片付けること、手すりの設置、滑り止めの活用など、住環境の見直しと日ごろの運動が転倒予防につながる可能性があります。
Q. 転倒すると要介護になることがありますか?
A. はい。骨折・転倒は要介護・要支援状態になった原因の上位に挙げられており、転倒が生活の自立度に影響する場合があるとされています。
Q. 転倒予防のために介護保険は利用できますか?
A. 要支援・要介護の認定を受けている場合、手すりの設置や段差解消などの住宅改修に介護保険を利用できる制度があります。詳しくは地域包括支援センターやケアマネジャーに確認するとよいでしょう。
Q. 高齢者が骨折しやすい部位はありますか?
A. 転倒時は手首や腕の付け根、太ももの付け根(大腿骨近位部)、背骨などを骨折しやすいといわれています。特に足腰の骨折は、その後の歩行や生活動作に影響することがあります。
Q. 転倒したあと、病院を受診した方がよいケースはありますか?
A. 強い痛みが続く、腫れや内出血がある、体重をかけて立てない、頭を打った場合などは、早めに医療機関への相談を検討しましょう。数日後に痛みが強くなることもあるため注意が必要です。
Q. 実家が遠方の場合、何を確認すればよいですか?
A. 帰省の機会に玄関・廊下・階段・トイレ・寝室・浴室の照明や段差、手すりの有無を確認し、電話では「最近つまずくことはないか」をさりげなく聞いてみると、変化に気づきやすくなります。

まとめ|安全な暮らしのために、できる工夫から始めよう

高齢者の転倒は、身体機能の変化だけでなく、住環境も大きく関係しています。玄関や廊下、浴室など身近な場所にも転倒の要因は潜んでいます。

すべてを一度に変える必要はありません。まずは帰省時や日ごろの会話の中で住環境を確認し、できるところから見直してみてはいかがでしょうか。

※本記事は公的機関の公表資料をもとに作成していますが、個々の症状や生活環境に関する判断については、医師やケアマネジャーなど専門家にご相談ください。

SONOSAKI LIFEでは、健康づくりに役立つ情報や介護の「お悩み」に寄り添う情報をお届けしております。ほかのコラムもぜひご覧ください。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。