こんなお悩みはありませんか?
「最近、親の財布の中がレシートや小銭だらけになっている」
「冷蔵庫に同じ食品がいくつもあるなど、買い物の仕方が変わった気がする」
「お金の管理について口を出すと怒ってしまい、どう対応していいか分からない」
高齢の親のお金の管理がうまくいかなくなる背景には、単なる加齢による変化のこともあれば、判断力の低下や認知症が関係していることもあります。
この記事では、家族が気づきやすい金銭トラブルの具体的なサインと、加齢による物忘れと認知症の違い、そして気づいたときの適切な対応方法を解説します。
この記事のポイント
- 高齢者のお金管理で起こりやすい変化のサインが分かる
- お金の管理が難しくなる原因が分かる
- 加齢による「自然な物忘れ」と「認知症」による違いが分かる
- 詐欺や悪徳商法など、金銭トラブルの兆候が分かる
- 親の自尊心を傷つけない見守りやサポートの方法が分かる
高齢者のお金管理で起こりやすい変化
年齢を重ねると、次のような変化が金銭管理の場面で表れやすくなります。実家に帰省した際や、一緒に買い物に行った際に、以下のサインがないか確認してみましょう。
- 公共料金や家賃の支払いを忘れ、督促状がたまっている
- 通帳やキャッシュカード、印鑑をどこに置いたか分からず、頻繁に探している
- 同じ食品や日用品を何度も買ってしまい、家に同じものが大量にある
- ATMの操作手順に戸惑い、暗証番号を何度も間違える
- 財布の中に小銭や紙幣が整理されずに詰め込まれている
一つひとつは「うっかりミス」に見えても、複数が継続して起きている場合は、単なる物忘れ以上の変化が起きている可能性があります。
高齢者がお金を管理できなくなるおもな原因
お金の管理には、計算能力だけでなく「優先順位をつける」「手順を覚える」「先の見通しを立てる」といった、高度な判断力と計画力が必要です。
加齢によってこうした判断力がゆるやかに衰えることは自然な変化ですが、認知症が関係している場合は、これらが早い段階から目立って低下することがあります。
また、認知機能の問題だけでなく、「視力や聴力の低下」によって書類の確認が難しくなったり、「体調不良や足腰の衰え」によって金融機関へ行くのがおっくうになったりすることも、支払い忘れや通帳の管理ミスにつながります。金銭管理の乱れは、必ずしも一つの原因だけで起こるわけではないことを知っておきましょう。
加齢による物忘れと認知症の違い
「単なる年のせい」なのか、「認知症のサイン」なのか、家族としては一番気になるところです。加齢による自然な物忘れと、認知症が関係する変化には、次のような違いが見られる傾向があります。
| 項目 | 加齢によるもの忘れ | 認知症が関係する変化 |
|---|---|---|
| 支払い忘れ | 指摘されると思い出すことが多い | 支払った記憶自体がないことがある |
| 本人の認識 | 「うっかりした」と自覚する | 困りごとを自覚しにくいことがある |
| 金銭管理 | 一部のミスにとどまる | 複数の管理ミスが継続することがある |
ただし、この違いだけで素人が断定することはできません。「金銭管理」だけでなく、料理や掃除、薬の管理など、「生活全般で支障が出ているか」を観察することが大切です。判断に迷う場合や不安がある場合は、かかりつけ医やもの忘れ外来に相談するのが確実です。
家族が気づきたい金銭トラブルのサイン
判断力が低下すると、詐欺や不要な契約を見抜く力も弱くなり、金銭トラブルに巻き込まれやすくなります。以下のような兆候を見逃さないようにしましょう。
- 電話勧誘で高額な商品や不要な工事契約をしてしまう
- 「還付金がある」「家族がトラブルに遭った」といった電話で、急いで現金を用意しようとする
- 訪問販売員に言われるがまま、契約書にサインしてしまう
- 同じ相手(団体や会社)に何度も送金や振込を繰り返している
- 見覚えのない請求書や、開封されていない契約書が家の中から見つかる
一度被害に遭っても、本人がそれを認識できず、同じ相手に繰り返し狙われるケース(カモリストに載ってしまうケース)もあります。「うちの親に限って騙されるはずがない」と思わず、通帳の記帳内容や郵便物を折を見て確認することが、早期発見につながります。
家族ができる見守りとサポート
親の変化に気づいたとき、最も避けたいのは本人を強く責めたり、いきなり通帳やカードを取り上げたりすることです。お金の管理は本人の「自尊心」や「自立」と強く結びついているため、頭ごなしの対応は心を閉ざさせ、かえって事実を隠すきっかけになりかねません。
次のような、親の役割やプライドを尊重したアプローチを心がけましょう。
- 郵便物や冷蔵庫の中身を、会話のついでにさりげなく確認する
- 「最近物価が上がって大変だよね。一緒に家計簿をつけてみない?」など、本人の役割を残した形でサポートを提案する
- 「最近、お財布の中身どうなっている?小銭重くない?」など、軽い会話から様子を探る
- 離れて暮らす場合は、定期的な電話や帰省で「変わったことはないか」を確認する
無理に問い詰めるのではなく、日常会話の延長で本人の状況を把握することが、見守りの第一歩になります。
こんな場合は早めに相談を
次のような状況が見られたら、家族だけで抱え込まず、早めに専門機関への相談を検討しましょう。
- 支払い忘れや通帳の紛失が頻繁に、繰り返し起きている
- 詐欺や不審な契約の被害に遭った、または遭いかけた形跡がある
- 本人が金銭管理のトラブルや困りごとをまったく認識できていない
【おもな相談窓口】
地域包括支援センター:高齢者の生活全般に関する総合相談窓口。
かかりつけ医・もの忘れ外来:認知症の疑いがある場合の医療相談。
消費生活センター(局番なしの188):詐欺や悪徳商法の契約トラブル。
状況によっては、「成年後見制度」や「日常生活自立支援事業」といった公的な仕組みを利用し、本人の財産を守りながら生活を支える方法もあります。これらの制度の利用を検討する場合も、まずは地域包括支援センターへ相談すると、手続きの流れを丁寧に教えてもらえます。
よくある質問(FAQ)
- Q. 物忘れがあるだけで、認知症と決めつけてよいですか?
- A. 物忘れだけでは認知症とは判断できません。同じものを何度も買う、支払いを忘れるなど、お金の管理を含めた「日常生活に支障が出ているかどうか」を合わせて見ることが大切です。気になる場合は、医療機関を受診しましょう。
- Q. 心配なので、親の通帳やカードを勝手に取り上げてもよいですか?
- A. 本人の同意なく強制的に取り上げることは、強い反発やトラブルの原因になります。まずは「一緒に管理しよう」「私が銀行に行くついでに記帳してこようか?」など、協力する形を提案してみてください。
- Q. 離れて暮らしていて変化に気づけません。どうすればよいですか?
- A. 定期的な電話で様子を聞いたり、帰省時に郵便物や冷蔵庫の中身を確認したりすることが基本になります。また、地域包括支援センターに相談し、地域の見守りサービスや訪問サービスを活用する方法もあります。
- Q. 親が「自分は大丈夫」と言い張って、サポートや相談をさせてくれない場合はどうすればよいですか?
- A. 頭ごなしに「できていない」と指摘するのではなく、「私の家計管理の参考にするから、一緒に家計簿を見てほしい」など、親に協力を求める(頼る)形で話しかけると、受け入れられやすくなるケースがあります。
- Q. 詐欺の被害に遭ったかもしれません。まず何をすればよいですか?
- A. すぐに「消費生活センター(消費者ホットライン:188)」や、お近くの「警察(警察相談専用電話:#9110)」に相談してください。クーリング・オフ制度などで対応できる場合もあります。
- Q. 成年後見制度とはどのようなものですか?
- A. 認知症などで判断力が低下した方に代わり、家庭裁判所が選任した後見人が、財産管理や契約手続きなどを法的に行う制度です。詳しくは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。
まとめ
高齢の親のお金の管理に見られる変化が、単なる加齢によるものか、認知症が関係しているものかを見極めるのは、家族だけでも簡単ではありません。
だからこそ、支払い忘れや通帳の紛失、重複購入、詐欺の兆候といった具体的なサインに日頃から目を向け、変化に気づいたときは「責めるのではなく寄り添う姿勢」で対応することが大切です。少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まずに地域包括支援センターなどの専門機関に相談することが、ご両親の生活と大切な財産を守る一番の近道になります。
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