年末年始は、久しぶりに家族が集まる大切な時間です。
その中で、「歩くスピードが落ちた?」「立ち上がる動きが少し大変そう」と、ふと親御さんの体の変化に気づくこともあります。でも、あまり深刻に切り出すとご本人が身構えてしまいがちです。
そこでおすすめなのが、 “軽いゲーム感覚でできる体力チェック”。
お孫さんも一緒に三世代でチャレンジすると、場が明るくなり、親御さんも自然と参加しやすくなるのでおすすめです。
この記事では、自宅で行える簡単なスクリーニングから、本格的な体力テスト、そして結果を受けた次の行動まで、理学療法士の視点でわかりやすく紹介します。
まずは「簡単なスクリーニングテスト」
筋力の低下や筋肉量の減少を簡易的にチェックするテストを2種類ご紹介します。
準備も簡単で取り組みやすいことがメリットです。
新聞紙を使った「紙ちぎりテスト」
<準備するもの>
新聞紙1枚<方法>
- 新聞紙を4回折ります

- 両手の親指と人差し指だけでちぎることができるかチャレンジ

- 難しかった場合は3回折りでちぎることができるかチャレンジ
<判定>
- 4回折りがちぎれた:筋力は十分
- 3回折りがちぎれた:標準
- 3回折りがちぎれなかった:筋力低下の可能性があります
4回折りがちぎれる人に対して、3回折りがちぎれない人は、筋力が低下している可能性が2倍、歩く力が低下している可能性が5倍高くなるという報告(※1)があります。
「指輪っかテスト」
<準備するもの>
なし
<方法>
- 椅子に座り、膝を90度に曲げた状態で、足を床につけます。

- 両手の親指と人差し指で輪 (指輪っか) をつくります。

- 利き足と反対のふくらはぎの一番太い位置を囲んでみます。
- 「囲めない」「ちょうど囲める」「指が重なる(余る)」を確認します。

<判定>
- 囲めない:筋肉量は十分
- ちょうど囲める:標準
- 指が重なる(余る):筋肉量低下の可能性があります
「囲めない人」に対して、「ちょうど囲める人」は2.09倍、「指が重なる(余る)人」は3.36倍サルコペニア(筋肉量が減少し日常生活に支障が見られる状態)発症のリスクが高くなるという報告(※2)があります。
気になるサインがあれば体力テストへ
スクリーニングテストで筋力や筋肉量低下のサインがみられた場合は、もう少し本格的な体力チェックを試してみましょう。
ここからは、より具体的に体力を見極める3つのテストです。安全に配慮しながら行ってください。
5回いす立ち座りテスト
<準備するもの>
- ストップウォッチ(スマートフォンの機能でも代用可能)
- 一般的な高さ(約42cm)のいす
<方法>
- 椅子いすに腰かけ、腕を胸の前で組む。

- 「よーいスタート」などの合図で立ち上がり、膝が完全に伸びるまで立ったら、再びお尻がいすにしっかりつくように座る。

- これを5回連続で行い、かかった時間を測定。
<年代別平均値(平均値±標準偏差)>
- 65~69歳:7.7 ± 1.9秒
- 70~74歳:8.3 ± 2.0 秒
- 75~79歳:8.5 ± 2.1 秒
- 80歳以上:9.7 ± 2.5 秒
<判定>
- 5回連続で立ち上がれない:下半身の筋力低下· フレイルの可能性大
- 13秒以上:サルコペニアの可能性
- 12秒以上:転倒リスクが高い
Time Up & Go (TUG) テスト
<準備するもの>
- ストップウォッチ(スマートフォンの機能でも代用可能)
- いす
- メジャー (3mを測るもの)
- コーン (ゴミ箱など目印になるもので代用可能)
<方法>
- いすから3m先に目印を用意する。

- 椅子に座った姿勢からスタート。
- 「よーいスタート」などの合図で立ち上がり、目印を回って戻り、再び椅子に座るまでの時間を測る。

<年代別平均値 (平均値±標準偏差)>
- 65~69歳:6.34 ± 1.15秒
- 70~74歳:6.94 ± 1.28秒
- 75~79歳:7.44 ± 1.51秒
- 80歳以上:8.69 ± 2.21秒
<判定>
- 13.5秒以上:転倒リスクが高い
- 10.85秒以上:サルコペニアの可能性
片足立ちテスト
<準備するもの>
- ストップウォッチ(スマートフォンの機能でも代用可能)
- 壁やテーブルなどバランスを崩した際につかまれるもの
<方法>
- 近くに支えになるものを用意し、転倒しないよう安全を確保

- 左右どちらでも行いやすい片足を軽く床から浮かせ、片足で何秒立てるか計測

- 「よーいスタート」などの合図でバランスを崩してしまうことがあるため、ご本人のタイミングで開始する
<年代別平均値(平均値 ± 標準偏差)>
- 65~69歳:40.8 ± 20.7秒
- 70~74歳:32.5 ± 21.6秒
- 75~79歳:25.5 ± 19.9秒
- 80歳以上:16.2 ± 17.9秒
<判定>
- 5秒未満:転倒リスクが高い
リスクが高かった場合は、早めの相談· 行動につなげましょう
若い方であれば「運動するならフィットネスクラブへ」と考えるかもしれません。
しかし高齢者には“高齢者の体力· 病歴· 痛み”に合わせた運動が必要で、若い人と同じ方法では負担が大きすぎる場合があります。
だからこそ、独自に運動を始める前に、地域包括支援センターなどの公的機関や、必要に応じて医療機関へ相談すると安心です。
- 地域包括支援センターへ相談
- フレイルや転倒リスクが疑われる場合、各自治体の地域包括支援センターが最初の窓口になります。体力低下の相談だけでなく、運動習慣づくりの支援も行っています。
- 自主グループや地域の運動教室へ
- 転倒予防体操、シニア向けサロンなど、地域で継続しやすい活動が豊富にあります。 楽しく続けられる場所に参加することで体力維持につながります。
- 病院受診が必要なケース
-
- 関節に大きな痛みがある
- 歩行(歩き方や速度)の急激な変化
- 明らかな片側半身の筋力低下
などがある場合は、整形外科やかかりつけ医に相談を。
年末年始は“気づき”と“つながり”のチャンス
親御さんの体力チェックは、決して“できないところ探し”ではありません。
大切なのは、早めの気づきと楽しく続けられる場につなぐことです。
とくに、お孫さんと三世代でゲーム感覚で取り組むと、心の距離が縮まり、自然な雰囲気の中で体力の変化に気づけます。
「孫と一緒ならやってみようか」と、親御さんが前向きになることも多いです。
本記事の体力チェックを活用して年末年始のひとときが、親御さんの健康寿命を守る第一歩になりましたら幸いです。
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