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理学療法士おすすめのウォーキング ~ノルディック・ポールで姿勢改善や関節痛予防~

 運動をするシニア夫婦

この記事では、いつまでも健康であり続けるための運動としてノルディック・ウォークを提案しています。 筋力アップや姿勢改善効果などに興味がある方へおすすすめです。 また、安全な歩行スタイルやポールの選び方ついてもわかりやすく解説しています。

この記事のポイント

  • いつまでも健康であり続けるため、1日1回はウォーキング
  • ノルディック・ウォークなら歩行姿勢も安定し、運動効果も抜群
  • 準備運動をしっかり行い、頑張りすぎず無理なく継続

健康寿命を知っていますか?

みなさんご存じのとおり、日本は世界屈指の長寿国です。しかし、何歳まで健康であり続けられるのかご存知でしょうか?

生物学的寿命と健康寿命の差は、医療や介護を必要とする「日常生活に制限のある不健康な期間」のことです。 この差が現代日本では平均10.2年と言われています。長寿自体は喜ばしいことですが、「10年近く医療や介護を受けながら生活する」という悩ましい現実が見えてきます。

日本国内における生物学的寿命と健康寿命の差・介護が必要な平均年数は10年

健康と不健康の中間「フレイル」

高齢者が要介護状態に陥る要因に「フレイル」(虚弱)があります。 「虚弱」と聞くと体の衰えを連想しがちですが、実はそれだけではありません。身体的・心理的・社会的な要因が相互に影響することで負の連鎖を形成し、「フレイル」は加速していきます。

例えば、長年連れ添ったパートナーや友人を失い、外出機会が減って閉じこもりがちになることで(=社会的要因) 人と接する機会が減り、認知機能の低下やうつ傾向が生じる(=心理的要因)、そして活動性が低い状態が続くことで体力が低下し(=身体的要因)、ますます外出が困難になる…といった閉じこもった生活へと発展していきます。

健康長寿になるためには、いかにして「閉じこもり状態」に陥らないようにするか、つまり「閉じこもりの予防」が重要とも言えます。

ノルディック・ウォークで心と体に活力を与えよう

「閉じこもり」の背景にある3つの要因を解消するためには、1日1回は散歩などで外出し、他者と交流する習慣を持つことが望ましいです。

しかし、体の衰えをケアしないまま外出を強行してしまうと、転倒やそれに伴う骨折などのリスクを高めてしまいます。

そこで、体力に不安がある方や足にふらつきのある方でも安心して取り組める“ノルディック・ウォーク”をおすすめします。

ノルディック・ウォークの注目ポイント

ノルディック・ウォークは、以下のようなメリットがあります。

  • 姿勢がよくなる

    上半身が自然と起き上がり、歩く際の姿勢がきれいになります。

  • 楽に長く歩ける

    上半身が起きると、歩幅も拡がります。呼吸もしやすくなるので、楽に長く歩けるようになります。

  • 消費カロリーが増える

    腕振りが大きくなるので、肩回りや腕の筋肉をより使うようになります。 さらに推進力が強まることから、歩くスピードが上がり、距離も伸びてきます。

    消費カロリーが増え、筋力アップとダイエット効果も期待できます。

ノルディック・ウォークのはじめかた

まずはポールを用意しましょう。
ノルディック・ウォークはスキーのストックのようなグリップ(握り)の付いたノルディック・ポールを使用します。

ポールを使うことにより両手両足でカラダを支えることができ、上半身が起き上がるため呼吸が楽になり、疲れにくい歩行姿勢を維持できます。

ポールの選び方

ポールは、ご自身のニーズやカラダの状態に合わせて最適なものを選びましょう。

身長に合ったノルディックポールを選びましょう
収納方法や身体の状態に合わせてノルディックポールのタイプを選びましょう

ポールを使った歩き方

ノルディック・ウォークにはいくつかの歩き方(スタイル)が存在します。 安全性が高く関節疾患が多い日本人におすすめなのが縦突き歩行のディフェンシブスタイルです。

杖を縦に突くことで速くなりすぎず、体重を両手両足支えることができます。 また、姿勢が起きるため腕と肩甲骨周囲の動きも大きく引き出すことができ、左右方向のふらつきが減少するという効果もあります。

ウォーキングする夫婦

ウォーキングをはじめるまえに準備運動を

出発前に「ポールは長さが合っているか」「伸縮部の緩みなどがないか」を点検し、季節や天候に合った服装や熱中症対策(水分・塩分の補給)にも配慮が必要です。

そして、準備運動をしてからスタートしましょう。準備運動は、筋肉の緊張をほぐし、関節をやわらかくするなどの効果がありトレーニングの一環となります

01.深呼吸

①肩をすくめるようにしながら息を吸います
②ゆっくりと肩を下ろしながら息を吐きましょう
③3回繰り返します

肩をすくめるようにしながら息を吸う
ゆっくりと肩を下ろしながら息を吐く
3回繰り返す
02.ポール挙げ

①ポールを両手に重ねて持ちます。
②頭の上に挙げます。できるかたは首の後ろに下ろしていきましょう。
③3回繰り返します

ポールを両手に重ねて持つ
頭の上に挙げる。できるかたは首の後ろに下ろす
3回繰り返えす
03.身体左右倒し

①ポールを重ねて持ち、頭の上に挙げます。
②身体を横に倒し10秒。反対側も同様に行います。

ポールを重ねて持ち、頭の上に挙げる
身体を右に倒し10秒
身体を左に倒し10秒
04.身体ひねり

①ポールを両手に重ねて持ち、胸の高さに前から挙げます。
②後ろを振り返るように、身体をひねり10秒数える。
③反対側も同様に行います。

ポールを両手に重ねて持ち、胸の高さに前から挙げる
後ろを振り返るように身体をひねり10秒
反対側も同様に行う
05.ボート漕ぎ

①ポールを両手に重ねて持ち、胸の高さに前から挙げます。
②ボートを漕ぐように前から後ろへ。前後10回引きましょう。

ポールを両手に重ねて持ち、胸の高さに前から挙げる
ボートを漕ぐように前から後ろへ
前後10回引きます
06.身体前倒し

①ポールの上に手を置き、一歩前にポールを置きます。
②ポールに体重をかけながら、腕と背中がまっすぐになるよう身体倒し、10秒数えます。
これを10回繰り返します。

ポールの上に手を置き、一歩前にポールを置く
ポールに体重をかけながら、腕と背中がまっすぐになるよう身体倒し、10秒数える
これを10回繰り返す
07.平泳ぎ

①身体を前に倒した姿勢から、平泳ぎのように腕を動かします
②脇を閉じた姿勢のとき、ゆっくりと身体を起こします。
これを5回繰り返します。

身体を前に倒した姿勢から、平泳ぎのように腕を動かす
脇を閉じた姿勢のとき、ゆっくりと身体を起こす
これを5回繰り返す
08.クロール

①身体を前に倒した姿勢から、クロールのように腕を動かします。
②左右交互にポールを引き寄せます
これを5回繰り返します

身体を前に倒した姿勢から、クロールのように腕を動かす
左右交互にポールを引き寄せる
これを5回繰り返す
09.アキレス腱のばし

①ポールの上に手を置き、身体を支えながら片方の脚を後ろに引き、10秒数えます。
②もう片方の脚も伸ばします
それぞれ10秒ずつ伸ばします。

ポールの上に手を置き、身体を支えながら片方の脚を後ろに引き、10秒数える
もう片方の脚も伸ばす
10.もも裏伸ばし

①片方の脚を前に出しつま先を上げ、おしりの後ろを突き出しながら、ゆっくりと身体を前に倒します。
②もう片方の脚も入れ替えて伸ばします。
左右10秒ずつ行います。

片方の脚を前に出しつま先を上げ、おしりの後ろを突き出しながら、ゆっくりと身体を前に倒す
もう片方の脚も入れ替えて伸ばす
11.足振り(前後)

①一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置きます。
②片方ずつ前後に大きく脚を10往復振ります。

一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置く
片方ずつ前後に大きく脚を振る
片方ずつ10往復、足を振る
12.足振り(左右)

①一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置きます。
②片方ずつ左右に大きく脚を10往復振ります。

一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置く
片方ずつ左右に大きく脚を振る
片方ずつ10往復、足を振る
13.足首まわし・深呼吸

①一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置きながら、つま先を軸に片方ずつ足首を10回まわします。
②足首をまわし終えたら、肩をすくめるようにしながら息を吸います
③ゆっくりと肩を下ろしながら息を吐きましょう

一歩前にポールを置き、ポールの上に手を置きながら、つま先を軸に片方ずつ足首を10回まわす
足首をまわし終えたら、肩をすくめるようにしながら息を吸う
ゆっくりと肩を下ろしながら息を吐く

まずは5分程度から習慣にしよう

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」では、成人で1日8,000歩(60分)以上、高齢者で1日6,000歩(40分)以上の身体活動が推奨されています

しかし、もともとカラダを動かす機会が少なかった方には、はじめから8,000歩や6,000歩を目標として取り組むことは負荷が高く、長続きしない原因となることもあります。

「健康長寿」を目指して無理なくはじめられるように、まずは5分程度で往復できるルートからはじめ、習慣化してきたら5分程度ずつ時間を延ばしていけるよう心掛けましょう。

また、本記事で紹介している縦突き歩行のディフェンシブスタイルは安全な歩行スタイルですが、 いきなり“急な坂道”やポールの接地が安定しない“足元の悪い道”などを歩くことはおすすめしません。

ウォーキングする夫婦

「ノルディック・ウォークで健康寿命UP!姿勢改善や関節痛予防も」まとめ

ノルディック・ウォークは関節や骨への負担が軽減されるため、疲労感を感じにくいといわれています。 歩行の速度は軽く息が弾むぐらいで、隣の方と会話が楽しめる程度が理想です。頑張りすぎず無理なく行うことが継続のカギとなります。

健康長寿を目指す方法のひとつとして、閉じこもり予防に効果のあるノルディック・ウォークを、ぜひ生活の中に取り入れてはいかがでしょうか。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。