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涙活vol.5「聲の形」 - 泣けるおススメ映画

聲の形

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会


  • Blu-ray 通常版:5,200円+税
  • DVD:3,800円+税
  • 発売元:京都アニメーション・映画聲の形製作委員会
  • 販売元:ポニーキャニオン

本作品は「週刊少年マガジン」に連載され、「このマンガがすごい!」や「マンガ大賞」などで高く評価された大今良時の漫画「聲の形」をアニメーション映画化。


「聲の形」あらすじ

退屈が嫌いな少年・石田将也のクラスに、聴覚障害を持った西宮硝子が転校してくる。 友達になりたい硝子と、いじめっこの将也。 硝子の補聴器を紛失させてしまうなど、将也のいじめがエスカレートしても、硝子はいつも笑顔で応じていました。 しかし、ある出来事をきっかけにそれらは一転し、将也はいじめの対象となって周囲から孤立してしまう。 それから5年。心を閉ざしながら高校生になった将也は、今は別の学校へ通う硝子のもとを訪れる。


【見どころチェック!】美しくて切ない映像に、自然と涙がこぼれます

注目すべきは、アニメーションだからこそ描ける映像美です。 前半の小学校時代のシーンでは光の使い方がとても綺麗で、内容の際どさをやわらげています。 中盤の花火のシーンは迫力があり、音楽と花火の音、将也の驚きと焦りのセリフが相まって、鳥肌モノです。 これは映画館で観たら思わず叫び声が出てしまうほど、息をのむ展開と映像の美しさ、そして計算された演出に圧倒されます。 心が震えて泣くとは、まさにこのこと。


アニメーションは描きたいシーンが自由自在に描けるからこそ、 鋭い感性と仕組まれた演出が感動をさらに強く後押しすることができます。 実写は仕組まれながらも偶然の積み重ねで作られますが、アニメーションは感性と計算でできています。 本作品では細部まで考えられた演出を堪能することができます。


将也と硝子

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

誰もが隣り合わせだった「いじめ」の記憶

この映画のテーマは聴覚障害だけでなく、「いじめ」にもフォーカスしています。 小学校あるいは中学校時代に、大なり小なり「いじめ」は誰にとっても身近な出来事だったのではないでしょうか。 いじめていた、いじめられていた、傍観していた、無関心だった、そんな経験は誰の胸にも痛い思い出として隠れているかもしれません。


転校してきた硝子

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会


観客は自分の学生時代を思い出して、登場人物の誰か1人に、もしくは複数の登場人物に自分を重ねていきます。 記憶が蘇り、開けたくない蓋が少しずれ、「痛いなぁ」と感じながら、この映画に共感していくのです。 誰かの親であれば、子供が切なく辛い思いをしていたかもしれないことに思いをはせ、息苦しく感じるかもしれません。


将也と硝子

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

顔に描かれる「X」の意味

将也の主観で描かれたシーンには、人の顔に「X」がついています。 これは将也が他人との関りを完全にシャットアウトしていることを表しています。
なぜシャットアウトする必要があったのか。 将也は自分がいじめられる立場になり、孤立して心を閉ざしていきます。 そんな中でも学校にいかなきゃならない。 追い詰められた気持ちを楽にするには、「顔にXをつけて相手との交流をシャットアウト」することでした。 この「X」が、将也の気持ちをよく表しています。 物語が進む中で「X」が取れたり取れなかったり、揺れ動く心情がわかりやすく表現されています。


孤立を感じている将也

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

多感で純粋な時期を懐かしく思う余韻

後半はタオルのご用意を。 花火の息をのむシーンで目頭が熱くなり、美しい映像で涙し、ラストに向かって胸が張り裂ける展開に号泣してしまう…そんな映画です。 抑え気味の音楽が、またいい。


将也と硝子

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会


高校時代の多感な時期に、何かに気付いたり感じたりした瞬間に自分の世界がものすごいスピードで違って見えた経験はないでしょうか。 例えば、自分の思考世界の範囲が家と学校と近くの商業施設ぐらいだったのが、ある出来事をきっかけに世界の広がりに気付いた時の衝撃。 世界は果てしなく広く、多くの人種がいて、多言語があり。
…なんて言葉にするととても陳腐だけど、この映画のラストを観てそんなことを思いました。 懐かしい感覚を思い出し、余韻と共に涙がこぼれてきます。


「聲の形」は思春期を題材にしているので、若い世代向きのアニメと思われがちですが、幅広い年齢層に響く映画です。 若い世代が見れば自分と重ね、年齢を重ねた世代がみれば、懐かしい感情や過去を振り返るきっかけになるかもしれません。 アニメにあまり親しみがなくても受け入れやすいので、多くの人に観てもらいたい作品です。

 書いた人 
  • 監修者写真
    あーやん
    映画コラムニスト
    ライター/動画制作

     

  • とにかく映画が大好き。物心ついたころから父親に連れられて社会派映画からエンタメ映画を観まくりながら育つ。
    学生時代はミニシアターを渡り歩く日々。
    オトナになった現在も、平日・休日問わずで、映画鑑賞が生活の一部。

    目の前にスイーツとコーヒーを並べて映画を観るのが至福の時間♡