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不調を感じたらどの専門家に相談すべき? ~シニアのための健康サポート~

腰が痛くて立ち上がるのに苦労する高齢者

加齢とともに感じる体の不調はさまざまです。膝や腰の痛み、つまずきやすさ、手足のこわばり、飲み込みにくさなど、「だれに相談すればよいかわからない」と感じることもあるでしょう。
本記事では、シニアの方がよく抱える症状と、それぞれに適した専門職を紹介します。

リハビリテーション・機能訓練・フィットネスの違い

退院にむけて病院でリハビリテーションを受ける高齢者

健康を維持・改善するための方法には、「リハビリテーション」「機能訓練」「フィットネス」があります。それぞれの違いを理解し、自分に合った方法を選びましょう。

  • リハビリテーション:病気やケガの後に、医療専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が行う専門的な治療・訓練。医師の指示のもと、機能回復を目的とする。
  • 機能訓練:介護施設やデイサービスなどで、介護職員や機能訓練指導員が行う日常生活を維持するための運動や動作の練習。
  • フィットネス:ジムや運動教室で、健康維持や体力向上を目的に行う運動。インストラクターが指導するが、医療的な資格を持たないことが多い。

専門職の得意分野と主な活動場所

1. 歩くのがつらい・関節や筋肉が痛む → 理学療法士(Physio Therapist/PT)

高齢者の歩行トレーニングを施す理学療法士

得意分野:運動機能の回復・維持

「最近、歩くとすぐ疲れる」「膝や腰が痛くて外出が減った」という方には、理学療法士が適しています。理学療法士は、運動療法やストレッチを用いて、関節の動きを改善し、転倒を防ぐトレーニングなどを行います。

こんなときに相談

  • 歩くと膝や腰が痛む
  • 立ち上がりや階段の昇り降りがつらい
  • 最近、つまずくことが増えた

主な活動場所

  • 病院・クリニック
  • 介護施設(デイサービス、特別養護老人ホーム、老人保健施設など)
  • 訪問リハビリテーション

参考:「理学療法士とは」|理学療法士協会 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapy/

2. 日常生活の動作がしづらい → 作業療法士(Occupational Therapist/OT)

作業療法士から指先の訓練を受ける高齢者

得意分野:日常生活動作の向上と環境調整

「服のボタンがかけにくい」「料理や掃除がしんどくなった」と感じる場合は、作業療法士がサポートします。手先の細かい動作や生活の工夫、福祉用具の活用などを提案し、快適な生活をサポートします。

こんなときに相談

  • 手や指が動かしにくい
  • 料理や掃除が負担になってきた
  • 家の中で転ばないようにしたい

主な活動場所

  • 病院・クリニック
  • 介護施設
  • 障害者施設

参考:「作業療法士とは」|作業療法士協会 https://www.jaot.or.jp/ot_job/

3.言葉が出にくい・食べ物が飲み込みにくい → 言語聴覚士(Speech Therapist/ST)

高齢者から発語の相談を受ける言語聴覚士

得意分野:話す・聞く・飲み込む機能の改善

「会話がうまくできない」「食べ物が喉につかえる」などの悩みがある方は、言語聴覚士に相談しましょう。発声訓練や嚥下機能訓練で、話す力や飲み込む力をサポートします。

こんなときに相談

  • 声がかすれて話しづらい
  • 言葉が出にくくなった
  • 食事中によくむせる

主な活動場所

  • 病院・クリニック
  • 介護施設
  • 訪問リハビリテーション

参考:「言語聴覚士とは」|言語聴覚士協会 https://www.japanslht.or.jp/what/

4.転倒や打撲のケア → 柔道整復師

高齢者から発語の相談を受ける言語聴覚士

得意分野:外傷の施術と回復サポート

「転んで足をひねった」「手をついて痛めた」といった軽いケガには、柔道整復師が適しています。接骨院や整骨院で、テーピングや固定をして早期回復を目指します。

こんなときに相談

  • 転んで捻挫や打撲をした
  • 痛みが長引く
  • スポーツや体操でケガをした

主な活動場所

  • 接骨院・整骨院
  • スポーツ施設

参考:「柔道整復師とは」|日本柔道整復師会 https://www.shadan-nissei.or.jp/about/

5. 慢性的な痛みや体のだるさ → はり師・灸師

背中の痛みを鍼灸で取り除く高齢者

得意分野:東洋医学による体調改善と痛みの緩和

「肩こりがひどい」「腰の重だるさが続く」といった慢性的な不調には、はり師・灸師が適しています。東洋医学のアプローチで血流を改善し、自然治癒力を高めます。

こんなときに相談

  • 肩こりや腰痛が長引いている
  • 手足が冷えやすい
  • 自律神経の乱れ(不眠、めまい)を感じる

主な活動場所

  • 鍼灸院
  • 整骨院・接骨院

参考:「鍼灸とは」|日本鍼灸師会 https://www.harikyu.or.jp/acupuncture_category/acu-category1/

6. 体のこりや疲労回復 → あんまマッサージ指圧師

マッサージで身体のコリをほぐしてもらう高齢者

得意分野:血流促進とリラクゼーション

「体がこわばる」「疲れがとれない」と感じるときは、あんまマッサージ指圧師が助けになります。筋肉をほぐし、血流を改善することで、体を軽くする効果があります。

こんなときに相談

  • 体がだるい、疲れやすい
  • 筋肉が張っている感じがする
  • リラックスしたい

主な活動場所

  • マッサージ院
  • 訪問マッサージ
  • 温泉・リラクゼーション施設

参考:「マッサージとは」|日本あん摩マッサージ指圧師会 https://www.harikyu.or.jp/acupuncture_category/acu-category1/

どこに行けばいいか迷ったときは

お医者さんに健康状態を相談する高齢者

接骨院や鍼灸院での施術は、一定の条件下で健康保険が適用されることがあります。ただし、医師の同意が必要な場合があるため、まず医療機関を受診し、医師と適切な治療計画を相談することをおすすめします。

  • 柔道整復師:接骨院・整骨院で、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷(肉離れ)などの外傷が保険適用の対象。ただし、骨折・脱臼は応急処置を除き、医師の同意が必要。
  • はり師・灸師、あんまマッサージ指圧師:神経痛やリウマチ、五十肩、腰痛症などの慢性的な痛みが対象で、医師の同意がある場合に保険適用となることがある。

また、外傷によっては手術が必要となる場合や、慢性的な痛みの原因が内科的疾患である可能性もあるため、医療機関で診断を受けることが大切です。

シニアのための健康サポート まとめ

シニアの方が感じる体の不調はさまざまですが、適切な専門家に相談することで、健康を維持し、快適な生活を送ることができます。保険適用の可能性がある施術については、まず医療機関を受診し、適切な治療方針を確認することをおすすめします。 自分の症状に合った専門家を見つけ、早めの対策を心がけましょう。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。