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【理学療法士監修】冬の“腰を守る”生活習慣!

冬の腰を守る生活習慣

冬は気温が下がり、体が冷えることで筋肉や関節の動きが硬くなりやすく、腰痛が起きやすい季節です。実は、腰痛は多くの日本人が抱える悩みであり、厚生労働省の調査でも、男性が訴える症状の第1位、女性では第2位を占めるほど身近な問題です。腰痛予防の基本は「腰の負担を減らし、からだ全体をバランスよく使うこと」とされています。この記事では、理学療法士の視点から、腰痛のタイプとその考え方や・日常の動き方、冬ならではの注意点をわかりやすくお伝えします。
出典: 厚生労働省|令和4年国民生活基礎調査

腰痛は「特異的」と「非特異的」に分けられる

レントゲン写真を見る医者

まず知っておきたいのが、腰痛には大きく以下の2つがある点です。

  1. 特異的腰痛
  2. 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、骨折、腫瘍など、画像検査で明確に原因がわかる腰痛 (全体の約15%程度)

  3. 非特異的腰痛
  4. MRIやレントゲンでは原因が特定できない腰痛 (約85%を占める) 。
    ぎっくり腰や筋肉疲労による腰痛、それから心理的原因による腰痛が当てはまります。

私たちが日常でよく経験する「腰が重い」「立ち上がるときに痛い」などの多くは、この非特異的腰痛にあたります。このタイプは、姿勢や動作、筋力・柔軟性、生活習慣の積み重ねが原因となることが多く、日常の動作の見直しや運動が有効です。
出典: Deyo RA, Rainville J, Kent DL (1992) What can the history and physical examination tell us about low back pain? JAMA. 12;268(6):760·5.

冬に腰痛が起こりやすい理由

公園のベンチで腰を痛がる男性

冬場に腰痛が出やすいおもな理由は次の通りです。

  • 身体が冷えて筋肉が硬くなる
  • 寒さにより筋肉がこわばると、血流が悪くなり、腰回りの筋肉や関節に負担がかかりやすくなります。特に、寒暖差が大きい日には、慢性的な腰痛を持つ人だけでなく、普段腰痛を感じない人にも痛みが現れることがあります。

  • 運動量が減る
  • 寒くて外出や運動が減ると、腰や下半身の筋肉が弱くなり、腰を支える力が低下します。

  • 長時間の前かがみ姿勢
  • 大掃除や家事などで前かがみの姿勢や物を運ぶ動作が続くと、腰に負担が集中しやすくなります。

これらを防ぐためには、日々の身体の使い方とセルフケアがとても大切です。
何気ない動作が実は腰に負担をかけています。少しの意識で変わる腰にやさしい動き方をお伝えしていきます。

物を持ち上げる動作は「腰だけを曲げない」

物を持ち上げる動作
イラスト: OTナガミネ

例えば床の物を拾う時、腰だけを曲げると腰に大きな負担がかかります。
股関節と膝を曲げて、体を丸めすぎずに動くことを意識しましょう。物を身体に近づけて持ち上げることで腰への負担が少なくなります。
なお、低い位置の物を取るときは腰を曲げる動作、高い位置の物を取るときは腰を反らす動作が必要となり、どちらも腰への負担が生じます。そのため、日常的によく使う物は「腰から胸の高さ」に収納するなど、環境を整えることも重要です。動き方を工夫するだけでなく、「そもそも無理な姿勢を取らなくて済む環境」を作ることも、腰を守るポイントです。

立ち作業は「踏み台を使う」

立ち作業に踏み台を使う動作
イラスト: OTナガミネ

例えば、キッチンでの調理や食器洗い、洗面所での洗顔や歯磨きなど前傾姿勢でいる時間が長くなると腰への負担が蓄積します。
踏み台に片足を乗せることで腰への負担を減らすことができます。踏み台が用意できない場合は、両足を前後に10cm程開いた体勢をとることでも負担は軽減します。
作業が長時間におよぶ場合は、途中で踏み台に乗せる足(無い場合は前に出す足)を交代する、合間に軽い屈伸や背伸びを行い同じ姿勢を続けないようにしましょう。

長時間の座り作業は「タオル・クッション」

机上で作業を行うなどで長時間いすに座る場合は、いすに深く座り、腰と背もたれの隙間にタオルやクッションを挟むことで腰への負担が少なくなります。
1時間に1回は立ち上がって、軽い屈伸や背伸びを行い座り続けないようにしましょう。

冬に取り入れたい腰痛予防の習慣

腰にカイロを張る男性

冷えや運動不足を防ぐちょっとした習慣が、腰を守ることにつながります。

身体を温める

冷えは筋肉を硬くします。冬は特に

  • 腹巻き
  • 浴槽での入浴
  • 腰回りへのカイロ(低温やけどに注意)
などで冷やさない習慣を取り入れましょう。

軽い運動を日常に

筋肉量が低下すると腰への負担が増えることから、筋肉の柔軟性と体幹の安定性を保つことが大切だとされています。

  • ゆっくりとしたスクワット
  • ウォーキング
  • お尻・太もも裏のストレッチ
やり過ぎると、痛みが強くなってしまう場合があるため、無理なく毎日少しずつ続けることがポイントです。

朝の動き出しはゆっくりと

寒い朝は特に筋肉が硬くなっています。

起床直後は急に前かがみや腰を反らす体勢にならない、起き上がりはゆっくり動作するだけでも腰の痛みが出にくくなります。

「痛みが続く」「しびれがある」ときの目安

足を痛がるシニア女性

多くの腰痛は日常生活での動き方や負担の蓄積が原因ですが、以下のような症状がある場合は整形外科など医療機関への相談をおすすめします。

  • 強い痛みで日常生活が困難
  • 足のしびれや力が入りにくい
  • 明らかな原因 (転倒・転落) がある痛み

よくある質問 (Q&A) 冬の腰痛、どう付き合えばいい?

背筋を伸ばす男性
Q1. 腰が痛いときは、安静にしたほうがいいですか?
A. 基本的には「無理のない範囲で動いたほうがよい」とされています。
以前は「腰痛=安静」という考え方が主流でしたが、現在では、痛みが強すぎない限り、日常生活レベルの動きを続けることが回復につながると考えられています。
ただし、動くと強い痛みが出たり、しびれや力の入りにくさがある場合は、無理をせず医療機関へ相談しましょう。
Q2. 冬はカイロや温めで腰痛はよくなりますか?
A. はい、冷えによる腰痛には「温め」が有効な場合が多いです。
寒さで筋肉がこわばると、血流が悪くなり痛みが出やすくなります。腰やお腹周りを温めることで、筋肉がゆるみ、動きやすくなります。
ただし、痛みのある部位が熱を持っていたり、ズキズキする急な痛みがあったりする場合は、温めずに様子を見る、もしくは医療機関へ相談してください。
Q3. コルセット (腰痛ベルト) は使ったほうがいいですか?
A. 「一時的に使う」のは有効ですが、常用には注意が必要です。
コルセットは、痛みが強い時、家事や外出などで腰に負担がかかる場面で使うと、腰の負担軽減に役立ちます。ただし、長期間頼りすぎると、腰回りの筋肉が弱くなる可能性があります。「痛みが落ち着いたら外す」ことを意識しましょう。
Q4. 腰痛予防に筋トレは必要ですか?
A. 強い筋トレでなくても、“動かす習慣”が大切です。
腰痛予防というと腹筋や背筋を鍛えるイメージがありますが、重要なのはお尻、太もも、体幹まわりに柔軟性がありバランスよく使えることです。
ウォーキングや立ち座り動作、軽いスクワットなど、日常の動きを意識的に行うこと自体が予防につながります。
Q5. 朝、腰が痛くて動きづらいのですが対策はありますか?
A. 起きてすぐ動かず、身体を“目覚めさせてから”動きましょう。
朝は体温が低く、筋肉や関節が硬くなっています。起床後すぐに前かがみになると、腰を痛めやすくなります。おすすめは、布団の中で足や体を軽く動かす、一度座ってから立ち上がるなど、ワンクッション置いて動き出しましょう。
Q6. どんなときに病院や専門家に相談すべきですか?
A. 次のような場合は、早めの相談をおすすめします。
  • 痛みが強く、日常生活に支障がある
  • 足のしびれや力が入りにくい
  • 転倒や事故など、明確なきっかけがある
  • 痛みが長期間続いている
これらは、一般的な腰痛とは異なる対応が必要なこともあります。
Q7. 腰痛は年齢のせいだと思っていましたが、改善しますか?
A. 年齢だけが原因ではありません。
確かに加齢による変化はありますが、多くの腰痛は動き方・姿勢・生活習慣の積み重ねが関係しています。冬の過ごし方を見直すことで、「毎年つらい腰痛」が楽になる方も少なくありません。

まとめ: 冬こそ腰をいたわる

冬は「冷え」「動きの制限」「家事の負担増」で腰痛が起きやすい季節です。理学療法士の視点で大切なのは、

  • 腰に負担をかけない動作の工夫
  • 身体を温め、筋肉の柔軟性を保つ習慣
  • 日々少しずつ体を動かすこと
です。腰痛とは「年齢のせい」ではなく、日々の積み重ねで変えられる症状。この冬は、ぜひ今日からできる動き方の工夫で、腰を守る生活をはじめてみませんか?

LIFEでは、健康づくりに役立つ情報や介護の「お悩み」に寄り添う情報をお届けしております。ほかのコラムもぜひ、ご覧ください。

 記事監修 
  • 監修者写真
    小林 修
    株式会社DIGITAL LIFE
    WEBサービス事業
    理学療法士
    社会福祉主事

     

  • 大学卒業後、理学療法士や介護事業所の管理者としてデイサービス、特別養護老人ホーム、ショートステイなど、10年以上の現場経験があり、介護サービスの運営、スタッフ教育に従事。
    現在は介護現場で培った経験を活かし、健康増進サービスの企画、開発に携わっている。