40代から60代にかけて、多くの方が経験する関節痛。「立ち上がるときに膝が痛い」「長時間座っていると腰が重い」「股関節に違和感がある」−−こうした悩みを抱えながらも、「年齢のせいだから仕方ない」と諦めていませんか?
実は、関節痛の多くは日常生活での姿勢や習慣が原因であり、適切なセルフケアによって改善できる可能性があります。
本記事では、理学療法士監修のもと、腰・膝・股関節という3大関節の痛みについて、原因から自宅でできる具体的な改善方法まで詳しく解説します。 痛みを我慢せず、今日から始められる関節痛対策で、快適な日常生活を取り戻しましょう。
関節痛の共通原因と中高年に多い理由
40代を過ぎると、関節痛に悩む方が急増します。その背景には、加齢による身体の変化が深く関わっています。
加齢によるおもな変化
筋肉量の減少
人間の筋肉量は20歳ごろにピークを迎え、その後は徐々に減少していきます。筋肉は関節を支える重要な役割を担っているため、筋肉量が減ると関節への負担が増大し、痛みが生じやすくなります。
軟骨の摩耗
関節の軟骨は、骨と骨の間でクッションの役割を果たしています。加齢とともに軟骨の弾力性が失われ、すり減っていくことで、骨同士が直接ぶつかり、痛みや炎症を引き起こします。
柔軟性の低下
年齢を重ねるにつれて、筋肉や腱の柔軟性が低下します。関節の可動域が狭まることで、日常動作での負担が増え、痛みにつながります。
姿勢の悪化
長年の生活習慣により、知らず知らずのうちに姿勢が悪化していることがあります。悪い姿勢は特定の関節に過度な負担をかけ、慢性的な痛みの原因となります。
加齢による変化を緩やかにするには
適度な運動と姿勢改善が効果的
これらの変化は自然な老化現象ですが、適切な運動とケアによって進行を遅らせ、痛みを軽減することが可能です。
腰痛対策:姿勢チェックと改善ストレッチ
腰痛と姿勢の深い関係
腰痛に悩む方の多くは、悪い姿勢が習慣化していることがあります。日常生活での姿勢が腰に与える影響は、私たちが思っている以上に大きいのです。
背骨の構造と腰痛のメカニズム
人間の背骨は、複数の椎骨が連なって「S字カーブ」を形成しています。このS字カーブは、体重や外部からの衝撃を効率的に分散する重要な役割を担っています。
背骨と背骨の間には椎間板というクッションがあり、さらに腰回りの筋肉が背骨全体を支えています。この構造により、日常生活でのさまざまな動作が可能になっています。
しかし、悪い姿勢を長時間続けると、背骨の一部分に負担が集中してしまいます。その結果、以下のような問題が生じます。
- 椎間板への過度な圧迫:椎間板に亀裂が入ったり、変形したりする
- 腰回りの筋肉の緊張:筋肉が常に緊張状態となり、硬くなる
- 血流の悪化:筋肉への血液供給が不十分になり、疲労物質が蓄積する これらが積み重なることで、慢性的な腰痛として現れるのです。
良い姿勢と悪い姿勢のセルフチェック
「壁に最初に着いた部位」を確認!
背中が最初につく
→ 猫背タイプ
お尻が最初につく
→ 反り腰タイプ
背中とお尻の両方
→ ◎良い姿勢
背中とお尻の両方が同時に壁に着いたら良い姿勢です。
背中を壁につけた時の「腰と壁の隙間」を確認!
隙間に手が入らない
→ 猫背タイプ
隙間に手を入れても余裕がある
→ 反り腰タイプ
隙間に手のひらがちょうど入る
→ ◎良い姿勢
隙間に手のひらがちょうど入るくらいが良い姿勢です。
良い姿勢の基準
1〜5を線で結んだ場合、垂直に線が引ける状態
理想的な立ち姿勢では、次の5つのポイントが一直線上に並び、床に対して垂直になります。
- ① 耳の穴
- ② 肩の中心
- ③ 骨盤(大転子)
- ④ 膝の中心
- ⑤ 外くるぶし
この姿勢を保つことで、背骨の理想的なS字カーブが維持され、椎間板や筋肉への負担が最小限に抑えられます。
悪い姿勢の代表例
猫背
反り腰
背骨の理想のS字カーブがくずれ、背骨の一部分に負担がかかる
猫背
背中が丸まり、頭が前に出る姿勢です。デスクワークやスマートフォンの使用時に多く見られます。この姿勢では、首から腰にかけての背骨に過度な負担がかかり、慢性的な腰痛や肩こりの原因となります。
反り腰
腰が過度に反り、お腹が前に突き出る姿勢です。ヒールの高い靴を履く習慣がある方などに多く見られます。腰椎への負担が大きく、腰痛や坐骨神経痛を引き起こしやすくなります。
ポッコリお腹姿勢 腹筋の弱化により、お腹が前に出た姿勢です。体幹の筋力低下がおもな原因で、腰への負担が増大します。
腰痛を改善する生活習慣
座り方・立ち方・寝方のポイント
日常生活での姿勢改善ポイント 座り方
- いすには深く腰掛け、背もたれに背中をしっかりつける
- 足の裏全体が床につくように座る
- 長時間同じ姿勢を避け、30分に1回は立ち上がって体を動かす
立ち方
- 重心を左右均等に分散させる
- 片足に体重をかけて立つ癖を避ける
- 顎を引き、視線は正面を向ける
寝方
- 仰向けの場合は、膝の下に枕やクッションを入れると腰への負担が軽減される
- 横向きの場合は、両膝の間にクッションを挟むと骨盤が安定する
腰を温めることの重要性
筋肉のこわばりが腰痛の原因になっている場合、腰を温めることで血流が改善され、痛みが和らぐことがあります(ただし、腫れや熱感がある場合は冷やす必要があるため、医療機関を受診してください)。
温める方法
- 温熱パッドやカイロを使用する
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
- 温タオルを腰に当てる
自宅でできる腰痛改善ストレッチ
腰痛改善には、腰回りの筋肉を柔らかくし、血流を良くすることが重要です。以下のストレッチを無理のない範囲で毎日続けてみましょう。
ストレッチを行う際の注意点
- 痛みが強い場合は無理をせず、中止する
- 呼吸を止めずに、ゆっくりと深呼吸しながら行う
- 反動をつけずに、じわじわと伸ばす
- 腫れや熱感がある場合は、医療機関を受診する
基本のストレッチメニュー
腰回りのストレッチ
- 仰向けに寝て、両膝を立てる
- 両膝を揃えたまま、ゆっくりと左右に倒す
- 各方向で15∼20秒キープ
- 腰が伸びるのを感じながら、3∼5回繰り返す
骨盤周りのストレッチ
- 仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱える
- ゆっくりと胸の方に引き寄せる
- 15∼20秒キープし、反対側も同様に行う
- お尻から腰にかけての筋肉が伸びるのを意識する
背中全体のストレッチ
- 四つん這いの姿勢になる
- 息を吸いながら背中を反らす(猫が伸びをするイメージ)
- 息を吐きながら背中を丸める
- この動作をゆっくりと10回繰り返す
膝痛対策:進行度別セルフケアと横ぶれ対策
中高年に最も多い「変形性膝関節症」の原因と、進行度に応じた対策を解説します。
膝の痛みのおもな原因
中高年の膝痛で最も多いのが「変形性膝関節症」です。この病気は、膝関節の軟骨がすり減ることで痛みを引き起こします。
変形性膝関節症の特徴
- 発症の男女比:1:4で女性に多い
- おもな症状:膝の痛み、膝に水が溜まる、関節の変形
- 原因:加齢、肥満、筋力低下、O脚など
なぜ高齢者に多いのか
軟骨の老化
加齢とともに、膝関節の軟骨は弾力性を失い、骨と骨の間の隙間が狭くなります。軟骨がすり減ると、骨同士が直接こすれ合い、痛みや炎症が生じます。
筋力低下
膝関節は軟骨だけでなく、周囲の筋肉によっても支えられています。特に太ももの前側にある大腿四頭筋と、後ろ側にあるハムストリングスは、膝を安定させる重要な筋肉です。
これらの筋力が低下すると、膝関節が不安定になり、軟骨への負担が増加します。その結果、変形性膝関節症の発症・進行・悪化につながるのです。
痛みの段階別セルフチェック
変形性膝関節症は進行性の疾患で、症状によって3つの段階に分けられます。ご自身の膝の状態をチェックしてみましょう。
初期症状
- 立ち上がるときに膝が痛む
- 歩き始めに膝にこわばりを感じる
- 休むと痛みが治まる
- しばらく体を動かすと痛みが自然に治まる 初期段階では、動き始めに痛みを感じますが、動いているうちに痛みが軽減するのが特徴です。
中期症状
- 歩くと膝が痛む
- 休んでも痛みがなかなか治まらない
- 歩行距離が短くなった
- 正座や階段の昇降が困難になってきた
- 膝に腫れや熱感がある 中期になると、日常生活に支障が出始めます。痛みが持続するようになり、できる動作が制限されてきます。
末期症状
- 安静にしていても膝が痛む
- 膝の変形が目立つ
- 膝を真っ直ぐに伸ばせない
- 歩行が困難
- 座った状態で足を引きずりながら移動している
- 膝に腫れや熱感がある 末期段階では、日常生活動作が著しく制限され、医療機関での専門的な治療が必要になります。
重要な注意点
上記のチェックはあくまで目安です。初期症状に該当する場合でも、実際には中期に進行していることもあります。膝の痛みが気になる方は、早めに整形外科などの医療機関を受診し、適切な診察や検査を受けることをおすすめします。
ラテラルスラスト(膝の横ぶれ)への対策
ラテラルスラストとは、歩行時に膝関節が外側へスライドするようにぶれる現象のことです。膝の痛みをかばうような歩き方をしていると起こりやすく、変形性膝関節症を悪化させる大きな要因となります。
横ぶれが引き起こす悪循環
- 右膝の痛みをかばって歩く
- 左膝に横ぶれが生じる
- 左膝にも痛みが現れる
- 両膝の痛みが悪化する
- O脚のような歩き方になる
- 歩行機能がさらに低下する
おもな原因
- 足首が必要以上に内側に傾いている
- 骨盤が後ろに傾いている
- 太ももの後ろ、内側、すねの前側の筋力低下
- 太ももの前側の筋力低下
外側くさび状インソールの活用
外側(小指側)に厚みを持たせたインソールを使用することで、自然と膝が内側に向くようになり、横ぶれを抑制できます。これにより、痛みの軽減と歩行の矯正が期待できます。
ただし、インソールは自分の脚の形に合ったものを使用する必要があります。市販品ではなく、主治医や理学療法士と相談して、自分専用のものを作成することをおすすめします。
症状別ストレッチ運動
膝の痛みを和らげるには、膝の状態に合った適度な運動が効果的です。以下、症状の段階に応じた運動方法をご紹介します。
運動前の注意点
適度な運動が大切
- 過度な安静は関節を固くし、かえって動かしにくくなります
- やりすぎは膝への負担を増やし、痛みを悪化させます
- 膝の状態に合った適度な強度で行うことが重要です
鍛えるべき筋肉
- 太ももの前部分(大腿四頭筋)
- 太ももの後ろ部分(ハムストリングス)
これらを強化することで、膝関節が安定し、痛みの軽減につながります。
温めることの効果
腫れや熱感がなければ、膝を温めることで血流が良くなり、筋肉のこわばりが和らぎます。運動前に温めるとより効果的です。
初期症状向け運動
いすに座って行う膝伸ばし運動
- いすに深く腰掛ける
- 背もたれから背中を離す
- その姿勢のまま、片方の膝をゆっくりと伸ばす ※座面から太ももの裏が離れないように注意
- 膝がこれ以上伸びないところで5∼10秒保つ
- ゆっくりと元の位置に戻す
- 反対側も同様に行う
- 左右それぞれ10回を目安に実施
うつ伏せで行う膝曲げ運動
- うつ伏せになり、両膝を伸ばす
- 膝を直角くらいまでゆっくり曲げる
- 8秒くらいかけてゆっくりと膝を伸ばし、元の位置に戻す
- 反対側も同様に行う
- 左右それぞれ10回を目安に実施
中期症状向け運動
仰向けで行う脚上げ運動
- 仰向けになり、両膝を伸ばす
- 片方の膝を立てる
- もう片方の足のつま先を天井に向け、膝を伸ばしたまま床から25cm程度持ち上げる
- その状態で5秒保持
- ゆっくりと下ろす
- 反対側も同様に行う
- 左右それぞれ10回を目安に実施
座って行う膝挟み運動
- 床に座り、膝を伸ばす
- 両膝の間に枕または直径25cm程度の柔らかいボールを置く
- 両膝で枕やボールを押しつぶすように挟む
- その状態で5秒保つ ※息を止めないように、数を数えながら行いましょう
- 10回を目安に実施
末期症状向け運動
座って行う膝押しつぶし運動
- 床に座り、膝を伸ばす
- 片方の膝の下に薄い枕か巻いたタオルを置く
- 膝の裏で枕をつぶすように力を入れる ※膝のお皿の上を触り、筋肉に力が入っているか確認
- その状態で10秒保つ(痛みが強ければ5秒でも可) ※声を出して数を数えると、息を止めずに行えます
- 反対側も同様に行う
- 左右それぞれ10回を目安に実施
膝のお皿のマッサージ
- 床に座り、膝を伸ばす
- 両手の人さし指と親指で膝のお皿をつかむ
- 上下左右の方向にゆっくりと動かす
- 次に、左右斜め方向にゆっくりと動かす
- 反対側も同様に行う
- 各方向10回ずつを目安に実施
ストレッチ時の注意事項
声を出しながら行う
運動回数を数えるなど声を出すことで、呼吸が止まるのを防ぎ、急な血圧上昇を予防できます。
サポーターは外す
サポーターは立つときや歩くときに効果的ですが、運動時は外して行いましょう。
改善しない場合は医療機関へ
以下の場合は、整形外科など専門医のいる医療機関を受診してください。
- 運動で痛みが強くなる
- 膝関節に熱感や腫れが出る
- 膝の痛みが和らがない
外出時の膝の痛みが気になる方へ
膝の痛みがつらいと感じる方には、サポーターの着用がおすすめです。なかでも「bonbone 薄型膝裏クロスXG」は、膝裏のパッドがベルトの圧迫を防ぎ、膝全体に適度な圧をかけることで、痛みや横滑りをサポートします。
肌に触れる部分には滑り止め素材を使用しており、歩行中もズレにくく快適。外出先での装着し直しの手間もなく、日常使いにもぴったりです。初めてサポーターを使う方にもおすすめのアイテムです。





