反り腰とは骨盤が前に傾くこと(骨盤前傾)で腰が反り、お尻が後ろへ突き出ている姿勢のことです。
高齢者や介護を受けている方は、筋力の低下や長時間の座っていることにより反り腰になりやすく、腰痛や姿勢の崩れが日常生活に影響を与えることがあります。
本ガイドでは、一般の方、介護されている方にも対応した内容で、チェック方法や改善のためのストレッチ、サポートグッズをご紹介します。
壁さえあればOK!簡単にできる反り腰チェック方法
反り腰かもと思われた方にご自分で簡単にできるチェック方法をご紹介します。ご紹介するセルフチェック方法に当てはまる場合は、反り腰の可能性が高いです。
セルフチェック方法
① 壁に頭と背中、かかとをつけて立つ。
② そのまま壁と腰の隙間に手を入れる。
壁と腰の隙間に手のひら一枚分以上の隙間がある場合は反り腰の可能性が高いです。
こんな習慣に気を付けて!習慣により筋肉が弱くなり、反り腰になりやすくなる!?
現代の生活習慣では、意外と多くの人がなりやすい反り腰。習慣を見直すことで、反り腰の予防をしましょう。
こんな習慣がある人は反り腰になりやすい
- ヒールの高い靴を履く方
- 日ごろからいすの背もたれに長時間よりかかった状態で座り続ける方
- 日常生活の中で運動をする機会が少ない方
こんなことが起こる
背骨のカーブの崩れや腹筋と背筋の筋力バランスの崩れから腹筋の筋力低下が起き、反り腰となります。また、反り腰により凝り固まった背中や腰回りの筋肉は腰痛を引き起こすこともあります。
改善・予防するには……
ストレッチと筋力運動をおこない、背骨の本来のカーブを取り戻すことや姿勢に気をつけましょう。ここから理学療法士がおすすめするストレッチと運動をご紹介していきます。
反り腰改善・予防におすすめ!3つのストレッチと1つの運動
反り腰を改善するためには、日ごろの習慣により弱っている筋肉を運動によって強化することが大事です。
また、並行してストレッチを行うことで凝り固まった背中や腰回りの筋肉がほぐれ、運動の効果を高めるとともに柔らかい筋肉がつくことにより、カラダを動かしやすくする効果も期待できます。ストレッチや運動時は、呼吸を止めないように注意しましょう。
背中(広背筋)をストレッチ
- 【目的】反り腰によって凝り固まった背中の筋肉を柔らかくします
- 【介護されている方向け補足】 いすに座った状態で前屈する方法に変更し、背中を支えてあげると安全です。
① 肩幅に開いた膝立ちの姿勢になります
② この状態から両手を床に這わせながら前に伸ばし、体を前に倒していきます
③ 背中が少し反るような状態で、背中の筋肉がストレッチされているのを確認します
④ 10秒カウントし、ゆっくり元の姿勢に戻ります
⑤ ここまで痛みなどなく行なえた場合は、もう一度行ない20秒までカウントし、ゆっくり戻します
太ももの前(腸腰筋・大腿四頭筋)をストレッチ
- 【目的】 太ももの前の筋肉は骨盤とつながっており、腹筋の筋力低下や腰痛とも深く関係しています。太ももの前の筋肉をストレッチすることで、腰痛の軽減や運動効果の向上につながります。
- 【介護されている方向け補足】 足を支えて安定させることで安全にストレッチができます。
① 壁に向かって立ちます
② 片手で足首をつかみ片足立ちになります (不安定な場合は壁に手をつきます)
③ 手でつかんでいる足のかかとをお尻の方にゆっくり引き寄せます
④ 太ももの前が気持ちよい程度に伸びているのを感じながら、まずは10秒カウントします
⑤ ゆっくり元の位置に戻します。上半身が前に傾かないようにすることで、よりストレッチ効果が高まります
⑥ ここまで痛みなどがなく行えた場合は、もう一度行い20秒までカウントしてゆっくり戻します
⑦ 反対側も同じようにおこないます
股関節まわり(内転筋)をストレッチ
- 【目的】 股関節まわりの筋肉は骨盤とつながっており、腹筋の筋力低下や腰痛とも深く関係しています この筋肉をストレッチすることで、腰痛の軽減や運動効果の向上につながります。
- 【介護されている方向け補足】 背中を支えながら前屈を補助すると安全です。
① あぐらの姿勢になり、両足の裏を合わせます
② 背中が丸まらないよう、おへそを前に突き出すイメージでカラダをゆっくり前に倒します
③ 股関節まわりの筋肉が気持ちよい程度に伸びているのを感じながら10秒カウントし、ゆっくり元の位置に戻します
④ ここまで痛み等がなくおこなえた場合は、もう一度おこない20秒~30秒までゆっくりカウントします
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- 【目的】お腹の筋肉を鍛えることで、お腹側に過剰にカーブ(前わん)した状態を改善します。
- 【介護されている方向け補足】仰向け姿勢の補助とカウントの声かけを行うことで安心して取り組めます。
① 筒状にしたバスタオルを用意します
② 両膝を立てた状態で床に仰向けになります
③ 床と腰の隙間の部分に筒状に巻いたバスタオルを入れます
④ バスタオルを押しつぶすように腰の部分を、息を吐きながら床へ押し当てていきます
⑤ バスタオルの押しつぶしを10回行います
以上が基本的な反り腰の改善・予防のストレッチと運動となります。
反り腰とひとくくりにしていますが、筋肉や関節などは人それぞれであり、あなたのカラダに合わせたストレッチや運動を行うことで改善・予防の効果はより高まります。
おすすめ腰痛軽減サポートグッズをご紹介
反り腰が原因の腰痛は、背骨のカーブが崩れているため腰への衝撃を吸収できず、過度に負担がかかることで腰痛が引き起こされます。また、反り腰が続くことで背中や腰まわりの筋肉に力が入った状態が続き、筋肉が凝り固まってしまいます。そうなると血流が滞ってしまうため、腰が重く感じ、腰痛を引き起こすこともあります。
ここまでの記事の中でご紹介した運動だけではなく、夜間の寝姿勢や日常習慣に気を付けることで反り腰や腰痛の改善が期待できます。
腰痛を軽減するサポートグッズにはさまざまなものがありますが、今回は寝るときに使用する腰枕と反り腰に対応した骨盤ベルトをご紹介します。
寝るときに使用する腰枕
ストレッチと運動に加えて、夜間に使用するサポートグッズをご紹介します。
反り腰の場合、仰向けになると寝具と腰の間に大きな隙間ができ、腰まわりの筋肉の緊張が続いた寝姿勢となり腰に負担がかかってしまいます。この負担を軽減するために腰枕を使用します。
寝るときに使用する腰枕の効果
仰向けになるとできる寝具と腰の間の隙間を埋めることで腰まわりの筋肉の緊張が緩められ、夜間にストレッチと同じ効果を得ることができ、腰痛や反り腰の軽減につながります。また腰枕が背骨を本来のカーブに近づけるサポートをしてくれます。
理学療法士のおすすめポイント
腰枕を実際に使ってみたけど、体に合わず寝づらくなってしまったという経験をした方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する「マルゼン ヴィスコフロート ソフトタッチ腰枕」は優れた耐久性を持っており、従来の低反発ウレタンをしのぐ超ソフト加工ウレタンフォーム「スーパーニューロンフォーム」という新素材を使用しています。
ニューロンフォームは特殊な粘弾性(※1)でゆっくりと沈み込む特性を持っています。低反発なのに沈み込みすぎず、徐々に体型に合わせてフィットし、包み込むようにしっかりと腰を支えてくれるため、心地よく寝ることができます。
寝るときに使用する腰枕の正しい使い方
<枕の向き>
ゆるやかな傾斜になっている側を頭側にします。
<枕の位置>
仰向けになった際に、寝具と腰の間にできる隙間を埋めるように腰枕を入れてください。











